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 ナカロマ 23

何言って…!

てっきり茶化されているものだと思って彼を見るが、その顔は想像と違い、笑ってはいなかった。


「リヴァイ…?」


えっ、えーと…?


「寝られねぇのは別に恥ずかしいことじゃない。ここにいる誰もが経験したことがあるだろうな…。
人によって理由は様々だろうが」


…そうか。

皆、壁外での経験で寝られなくもなるよね。

私なんてまだ外に出てもいないのにこんな調子だなんて、情けない。

ん?

…調査兵団にいる誰もが?

ということは…。


「リヴァイも、寝られないことがあるの?」


そう聞くと、彼の表情が少し、柔らかくなったような気がした。



「……さぁ、どうだかな」



…あるんだ。

リヴァイは夜何を考えてるの?
どんな時に眠れなくなるの?

リヴァイは誰かと一緒に寝ると落ちつくっていうこと…?


「……っ」


思わず一気に膨れ上がった疑問を全て聞いてしまいたくなったが、警備の兵士が廊下の向こうから歩いてくるのが見えたので思いとどまった。


「…必要なら声をかけろ。ゆっくり休めよ」


…リヴァイも。

誰かに傍にいて欲しいときがある?

必要なら、私でいいなら、いつでも呼んでよ。
あなたが呼ぶのは、私だけであってほしい。


「うん…」


…そんなこと、言えなかった。


静かな廊下に、リヴァイの靴音が響いた。


立ち止まっている私を兵士が横目で見て通り過ぎていく。




本部横の宿舎へ続く廊下の灯りは通常のそれより配置の距離が空けられているので、更に薄暗い。

靴音が遠ざかり、リヴァイの姿が闇に紛れていった。



頬と手に当たる夜風が冷たい。




…どこまで、許されるんだろう。

どこまでリヴァイは許してくれるんだろう。


時々、わきまえているはずの距離が見えなくなる。

それは決まって、リヴァイが分からなくさせる。


調査兵団の兵士達が眠れなくなる夜はきっと、恐怖や怒り、悲しみを抱えているとき。



じゃあ、リヴァイは?



壁外で部下や仲間を失う度にやり場のない思いがあったはずだ。

彼が背負う自由の翼。

兵士長として、一人の人間として彼が背負い込んでいるものは計り知れない。


眠れないとき、多分彼はベッドではなくて椅子に腰かけている。
その瞳はきっと、私が見たあの時の色をしてる。



支えたい。

…傷ついてほしくない。


そう思うのを、リヴァイは許してくれるだろうか。



  


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