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「#溺愛」のBL小説を読む
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 ナカロマ 21

「飯って…」

その言葉通り、彼に連れられて向かったのは食堂だった。

ただ、私や一般兵士がいつも利用しているところでは無く本部宿舎内にある給仕室だった。

兵団のシステムとしては自分たちで食事を用意する場面もあるが、多忙や立場上の理由でそれが適わない上官達が利用する場所があるとは聞いたことがある。

さほど広くない空間にカウンター席とテーブル席が設けられていて、食事を取る場所というよりはバーに近いようだった。

リヴァイが慣れた様子でカウンター席に腰掛けるので、私も戸惑いながら隣の席に座った。


「リヴァイ、こんなところ私が入っていいの?」

「構わねぇよ、どうせ誰も見てない」


周りを見渡すと、私達の他には誰もいない。

…なるほど。確かに。

時計の針は夕食時を少し過ぎた時間を指している。
いつもの食堂ももうそろそろ閉まる頃だ。

こんな時間までリヴァイを待たせてしまったのか…。

悪い事したな。


「何にしましょうか?」

調理場の奥から中年の男が顔を出した。


リヴァイは一瞬私に目をやってから、
何か体が温まって腹にたまるやつを、とかなり大まかな注文をした。

男が頷いて奥へと引っ込むと、何やら調理器具をか動かす音がした。
今の時間は彼一人で全て回しているようだ。
キッチンも小さいようだし、その方が効率的かもしれない。

「寒いの?」

その内容を聞いて彼の体を心配する。
風邪でも引いたのだろうか。

「…お前のことだ。
体冷えてんじゃねぇのか」

え、私?
そういえば、少しだけ寒気がする。
あの資料室が冷えてたからかな。

資料を読んでるうちに眠くなって…。


「そうだ、なんで私リヴァイの部屋にいたの?
資料室で眠くなったのは覚えてるけど」


そう言うと、彼は何かを思い出したようににやりと口角を上げた。

「ああ、腹出して爆睡してたな。」

「そんなわけないでしょ!」

ということは、やっぱり彼があの部屋に来たんだ。
そして、部屋まで運んでくれた?
それにも気付かずにずっと寝ていたなんて、確かに爆睡していたらしい。

「ごめんね、寝ちゃうなんて…。
今度からは気をつけるから」

自分の失態に項垂れる。
しっかりと自立した自分を見てもらいたかったのに、これでは幼子のようだ。

情けない…。

頬杖をついてカウンターの奥に目を向けていたリヴァイが私に顔を向けた。
薄暗い中で見る彼の瞳は色が無い。

「確かにな。その隙だらけなのを何とかしろ。
…大人なんだろ?」

彼の言う事は最もだ。
隙だらけ…かぁ。

「……うん。」

その言葉にちくりと傷つく。
早く大人になりたいと急ぐほど自分の未熟さが目に付く。
外見ばかり大人になっても意味が無い。
私は、彼の隣に立っても恥ずかしくない人になりたい。

それなのに今の私は、彼に助けられてばかりだ…。

そこへ、温かそうなスープが運ばれてきた。野菜や少量ながら肉が煮詰めてあり、それは湯気を立てて視覚的にも嗅覚的にもとても美味しそうだった。
私とリヴァイの前に一つずつその皿とパンの皿が運ばれるが、最後にリヴァイの前にだけ黒い飲み物が置かれた。
なにこれ、という顔がリヴァイには分かったのか、彼は大人の飲み物だ、とだけ言った。
彼は何とは言わないが、間違いなくアルコールだろう。
一般の食堂ではこんな飲み物は頼めないだろうから、やはりここは特別な場所なんだと感じた。

食事を取っている最中にもリヴァイは良く噛め、だとかしっかり食え、だとか口出しをしてくる。

「吐くまで食え。
ったく、細ぇ体しやがって」

この男は私のことを本当に子どもだと思っているに違いない。
または、年の離れた妹だ。

彼と私との会話には何故こんなにも色気がないんだろう…。
私の理想としている彼との会話とはかなりかけ離れている。

大人な会話が出来るのはいつになるんだろう。
彼の目には完全に女として映ってないんだろうなぁ…。

小さく溜息をつくが、彼の言っている事が一理あるとも思えて言われるがままに従う他なかった。



  


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