DAY-3.5
それはとあるうららかな平和な昼休み。クラスメイトと仲良く廊下で話していた時だった。
笑ってたクラスメイトの表情が急に強張って、オレの後ろに視線のピントが合ってる。
「どったの?」
「…悪いニーナ、ちょっと用事思い出したわ!後でな!」
「はぁ!?ナニナニ!?意味わかんねぇって!」
用事ってたった今、ヒマだよな〜とか話してたじゃん?
脱兎の如く逃げてく後ろ姿を呆然見送り立ち尽くしてた。
仕方なく教室に戻ろうとした瞬間、綺麗なバランスのとれた筋肉質な腕に首を絞められた。
「ぐえっ」
「俺も意味わかんないの〜」
背筋に冷たい汗が流れる。
オレ、今この状況が意味わかんないの〜。
恐る恐るフヨ〜っと左に視線を泳がせると、整った端正なお顔立ち。
表情は世間一般で言う笑顔ってやつで、いたずらっぽく言われても目が笑ってねーよ!
こえぇ!超こえぇ!
「琉夏さん…?ど、どうしたんスか?」
「ニーナ、今ヒマ〜?」
「ヒマじゃないです…」
「俺はヒマ〜遊んで?ここじゃ人目に付くから場所変えよっか?」
「ヒマじゃねーし!遊ばねーし!何で人目に付いたらダメなんスか!ここでいいっしょ!?」
「変えよっか?」
2オクターブ余裕で下がったんじゃねーの?って位低い声に耳が威圧される。
「…うっす」
呼び出しじゃね?
オレ、何かした…!?
笑顔のまま首絞められて、ズルズル引きずられていく。
終わった…。オレの高校生活終わった…。
「何でそんなビビってんの?俺らオトモダチでしょ?ホラホラ自販機でジュース買っていこ?」
「…はぁ」
友達にあんな圧力かけないと思います。そしてオトモダチじゃないです。
アンタ恐ろしい先輩だよ。
自販機にチャリンと小銭を入れ、ボタンが光って何を飲もうか眺める。
「オレ、コーラね」
「え!?オレがおごんの!?」
「金欠でお金ないもん」
「なんスかそれ!ひでぇよ!」
「ニーナ早く〜、喉渇いた」
しかもカツアゲかよ!
ひでぇ!
結局ジュース買わされて、柔道部の部室の方に引っ張られてく。
静かに怒ってるっぽいけど、心あたりねーんだよな
上手くやってるつもりだし?
はぁ…、マジでなんなのもう…。