段々と目が慣れてきて、電気を消しても窓から差し込む月明かりのおかげで美奈子の表情は十分見てとれた。
先に横になってしまった俺にかなり戸惑ってるみたいだ。
そりゃそうだ。いつもなら美奈子が困る位ベタベタするし、キスもいっぱいする俺が今日は全然触ってないからな。
このまま寝てしまうのか、自分はどうしたらいいのか美奈子はきっとすごく困ってる。
本当はここで俺から襲ってもいいんだけど、可愛い美奈子をどうせだからもうちょっと苛めてみたくなる。
「おやすみ、美奈子」
そう言ってゴロリと窓際の美奈子に背中を向けた。
さて、美奈子はどうするかな?
このまま諦めるかな。
そんな事を考えていると、ギシッとベッドが軋む音と共に背後に美奈子のが座る気配を感じた。
「ルカくん…怒ってる…の?」
恐る恐る訪ねる声と心細そうに俺のタンクトップを掴む美奈子に胸がキュッと締め付けられる。
(ヤバい、たまんない)
その声も仕草も何もかもが可愛いくて仕方ない。
「怒ってないよ、なんで?」
もっと美奈子にすがって欲しくて背中を向けたまま聞き返す。
「いつものルカくんじゃない気がして……。この前…その…叩いて逃げちゃったし…」
まぁアレは俺が悪かったっていうか、アレはアレで俺もおいしかったっていうか。
「いつもならその…もっと…」
「もっと触るしキスもする?」
「う、うん……」
「触って欲しいの?」
再びゴロンと体を反転し、美奈子と目を合わせて意地悪く笑うと「そ、そうじゃなくてっ」とおろおろする様子がまた可愛い。
「美奈子から襲ってくれてもいいんだよ?」
出来ないと分かってていちおー言ってみるとやっぱり美奈子の顔がみるみる真っ赤に染まって黙ってしまった。
確か美奈子があいつらに相談してたのは俺がどうやったらエッチしたくなるかだろ?
あくまで俺が攻めであって、美奈子から迫るっていう選択肢はないわけだ。
美奈子が俺とそういう風になりたいって思ってくれただけで死ぬほど嬉しいけど、どうせならオプションで『美奈子から迫る』っていうのがついててもいいと思うんだ、うん。
淡い期待を込めて、もう一度美奈子におやすみを言うと俺は仰向けになりゆっくりと目を閉じた。