部屋に行った後、体が汗でベタベタして気持ち悪かった俺は美奈子にテキトーにしててと言い置いてシャワーを浴びに行った。
(はぁ、もうヤバい)
なにあの美奈子の服。すげぇ俺好み。しかもミニスカートって、俺のこと誘ってる?
(美奈子は脚まで可愛い……今すぐ触りたいな、あそこに顔うずめたい)
スカートから覗く形のいい太ももを思い出して、慌てて犬みたいにフルフルと頭を振ると水滴と一緒にえっちぃ気持ちも無理矢理飛ばす。
シャワーを終え、既に揺らぐ決意に不安を覚えながらも部屋に戻ると俺が来た事に気付いていない美奈子が窓辺に置かれたベッドに座ったまま不自然な動きをしていた。
「こ、これくらいかな?」とか「やりすぎかな?」とか言いながらボレロのボタンを外してみたり、胸を寄せてみたり。
結局「や、やっぱり、恥ずかしいっ」と言って真っ赤になりながら両手で顔を覆うと自分の膝に突っ伏してしまった。
そういえば、ニーナが言ってたっけ。谷間がなんとかって。
うん。確かに美奈子にチラ見せされたらヤバいな、俺。
俺からは手出さないとか言ってられないかも。
このまま1人あわあわする美奈子を見ていたい気もしたけど、あんまり待たせるのも悪いから……というより俺が待てなくて、この前まで不安いっぱいで言っていた言葉を今度は余裕シャクシャクで投げかける。
「何してるの?」
俺の声に驚いた美奈子は耳まで真っ赤になった顔をパッと上げるといそいそと服の乱れを直しながらお決まりのセリフを返してきた。
「な、何でもないの」
(服直しちゃうんだ…)
ちょっとガッカリだけど慌てる美奈子に俺はにんまり笑いながら近付いて隣に腰を下ろす。
「ふーん?オマエこの前からそればっかり」
ゆっくりと美奈子の瞳を見つめながらお互いの唇が触れるか触れないかというギリギリまで顔を寄せると意地悪く囁く。
「何か隠してる?」
キスをされると思ったのかギュッと目を瞑り体を強ばらせていた美奈子はその言葉に大きな瞳を見開いてブンブン頭を左右に振った。
「か、隠してないよっ」
「そ?ならいいけど」
ニッコリ笑ってそう言うと俺は何もしないまま立ち上がり首に掛けたタオルで頭をガシガシ拭きながら、ベッドの上を移動すると窓辺に肘をつき海風で涼む。
美奈子はと言えば、少し肩透かしを食らったような安心したような顔でそんな俺の動きをキョトンと見守っていた。