美奈子とコウはいきなり現れた俺をただぼーっと見つめるだけでピクリとも動かない。
そんな二人を見ていたら、胸のあたりは熱いのに逆に頭は冷静になっていった。
「こそこそ二人で何してんの?」
まっすぐ美奈子を見据え一番聞きたかったことをぶつける。
「…なんでもねぇよ。」
「あのさ、コウに聞いてんじゃなくて美奈子に聞いてんだけど。」
「…だってよ。ちゃんとオマエの口からコイツに話せ。じゃあ、俺はこれからバイトだから行くわ。」
はぁ、と一つ息を吐いてコウがソファから立ち上がり、ドアの方へと向かう。
コウはすれ違いざまに俺の肩をポンと叩いて、オマエの勘違いだから気にすんな、余裕たっぷりな言葉を残して出て行った。
おろおろしながらも、ルカくん1日ってバイトない日だよね?とかその日空いてる?とか、いろんなことを聞いてくる美奈子。
そんなことより俺はさっきの質問に答えてほしいんだ。
逃げらんないように美奈子の隣に座ってさっきの質問をもう一度ぶつける。
「ねえ、こそこそ二人で何してたの?」
困ったように眉毛をハの字にして、あー、とかうー、とか繰り返す美奈子。
その顔も仕草もカワイイけど、今の俺には効かないよ?
「それじゃ分かんない。分かった、じゃあ質問変える。何の話してたの?」
「な、なんでもないの。」
「…ふうん、この前からしょっちゅう男と二人っきりになってるのに…この期に及んでまだ言うの、それ。」
とうとう美奈子は黙り込んでしまった。
どうして俺の質問にちゃんと答えてくんないの?
やっぱ、俺だけにはどうしても言えないってこと?
「…あのさ、男と二人っきりでいるってことは、こういうことされても不思議じゃないってことなんだよ。」