「美奈子、今日も目合わせてくんなかったな…。」
美奈子と過ごせない学校なんてつまんなくて、途中で抜けて帰ってきたある日の夕方。
着替えるのもめんどくさくて、制服姿のままベッドでごろごろしてたらダイナーの扉が開く音がした。
「お邪魔しまーす。ね、ねえコウくん、ルカくん今日は…」
「心配すんなって。アイツはどっかぶらついて帰ってくるって言ってたからよ。」
あ、そういやさっきコウからのメール、適当に返事したんだった。
どこにいる?っていうメールの返事、「外」ってしか打ってないのに…さすが国語得意なだけあるな。
って、今大事なのはそこじゃない。
なんで、美奈子がここに…?しかも二人とも俺に内緒で…。
え、何、これってもしかして、出て行っちゃいけない雰囲気ってやつ?
「そう…良かった。あ、ありがとう。いただくね。」
美奈子はコウからジュースの缶を手渡され、促されるままソファに座った。
なんだろう…心なしかほほ笑む美奈子のほっぺたが赤くなってる気がする。
俺には最近あんな顔全然見せてくんないのに。
ああでも、他のヤツに見せる笑顔も仕草も全部がカワイイ。
でもさ、それって全部俺のもの。
俺以外の他のヤツにそんな簡単に見せないで。
二人の前に出ていくタイミングを完全に失った俺は、二人からは見えない場所に隠れてその様子をうかがうことにした。