DAY-2 その時のバンビさん



美奈子さんにちょっと相談に乗って欲しいって呼び出された部活前。
嵐さんに抜ける前に、怒られっかなって思いながらも、美奈子さんに呼ばれたって一言声かけたら、特につっこまれる事なく行ってこいって言われた。


中庭を抜けた先の柔道部部室の近くで待ち合わせ。
すでに美奈子さんは来ていて、手を振るとオレに気がついて手を振り返してくれた。


「お待たせしました〜」

「ごめんねっ、急に…!部活で忙しいのに…」

「べっつに〜、嵐さん鬼だし、ちょっとサボれてラッキーみたいな?つーか何?相談って」

「…あ、あのね…ちょっと…」


たまに部活してるやつらが、隣通りすぎてって美奈子さんが黙る。


「アッチ行こっか」


キョロキョロと周りを窺う美奈子さんに、話しにくい事なんかなーって、少し人気のない方を指差すとコクンと頷いた。
木陰の所まで来て、話の続きを促してみっけど、中々美奈子さんが口を開かない。


「もしもーし、どしたの?」


美奈子さんを覗き込んでみたら顔が超真っ赤。
バッて顔を上げて、覚悟を決めた美奈子さんの口から出てきたのは衝撃的な質問。


「男の子ってどんな風にしたらエ、エッチしたくなるかな」

「えっ!?」


さっきよりも真っ赤になってく美奈子さん。
聞かれた内容が内容だし、つられてオレまで顔真っ赤になるっしょ!

男がエッチしたくなるってアンタ!
琉夏さん相手にそれ言えば、ホイホイ襲いそうなんスけどー!?
なんつーか、一生懸命だし、わざわざそんな事聞いてくるって意味わかんねーし。

チラリと美奈子さんをみると、もっと赤面率上がってる
この人年上のクセになんっか、かわいいよな。

頭をボリボリかいて、アンタの彼氏は黙ってても襲ってくれますとは言えず、一緒に赤くなった顔を手で隠しながら、色々考えてみる。


「んぁ〜、そうっスね…ちょっと座りますか」


真剣にオレの答えを待ってるって事は本気って事だよな。それにしたってなんつー質問!
この人パネェ!超天然じゃん!嵐さん系?


「琉夏さんですよね?」

「え…っ!?、あっ、その………うん…」


なんで知ってるの!?って顔してるけど、琉夏さんってアンタに所構わず抱き着いてるイメージあるんスけど。つき合ってねーなら、なんなんだみたいなね。
琉夏さんの牽制がパネェって話だし。そもそも美奈子さんに近づけないらしいし。
それさえなきゃ、オレだってもっと仲良くなってみたかったっての。
つーか今それ関係ねーな。

でもまぁ色々考えてみるけど、美奈子さんがその気なら、琉夏さん喜んでいただきますじゃね?
意外にそうじゃねーのかな?
どんなに頭巡らせても、迫ってる琉夏さんしか出てこない。


「任せとけばいいような気ぃするんですけど」

「あのね…っ、ルカくんお誕生日なの…だからわたし…」

「ああ〜、なるほど」


自分から仕掛けたいって事ね。
チラリと目の前の美奈子さんに視線を戻すと、真っ赤で必死に悩む姿にうっかりドキドキさせられた。
琉夏さんが牽制すんのもわかる気がする。




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