1000hit*初々しい恋 | ナノ

公認ストーカー

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「はあー…今日も最高…」

3年2組の教室を覗き込みながら私はうっとりする

え?何をしているかって?


ストーカーですが何か


私のストーカー相手、もとい好きな人は白石蔵ノ介くん

テニス部部長で容姿端麗・才色兼備・文武両道…いくら言葉を並べても賞賛しきれない完璧少年である

私をそこらのミーハー女子と一緒にしないでほしい
愛が違うのです!


『またお前は朝から…』

『那美…アンタも懲りへんなぁ』

両脇から腕を掴まれる

振り返るとこのクラスのもう1人のアイドル、忍足謙也と
その彼女であり私の親友でもある詩織が呆れて立っていた

そのままずるずると白石くんの元まで引っ張って行かれる


『白石…またストーカー居ったで』

『はは、知っとるわ。おはようさん、古西』

「おはよう白石くん!」

今日もイケボ…!
というか全てがかっこよすぎですマジで

『この子、昨日の5限なんて窓から白石くんのサッカーをガン見しすぎて先生に怒られよってんで…ほんまアホやろ』

詩織がため息をつく

「詩織だって窓から謙也くん見てたやん!」

『み、見てへんわ!』

『ほんまか!?めっちゃ嬉しいわぁ』

ちっ、バカップルが…!

『そ、そろそろ私らも教室行くで!ほなまた、謙也も白石くんも』

詩織が腕を引っ張って急かす
ツンデレか…

「じゃあまたな、白石くん!」

『え、俺は!?』

『おん、今度は怒られなやー』

白石くんがひらひら手を振ってくれる

今日もいい日だ…!


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『なあ…白石』

『ん?』

『お前…あんなつきまとわれとって嫌やないん?いつもやったら…』

『アホ、俺が騒がれるん嫌いなん知っとるやろ。古西は…特別や』

『うっわ、満更でもない顔しよって』

『うっさいねん。ほら、はよ前向けや』


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放課後――――

帰る前にもう一回白石くんを拝まねば!

ちょうど中庭に差し掛かったとき、女の子の声がした
告白かな…

って…白石くん!!

陰になってるけど、女の子の向かいに立っているのは紛れもなく白石くんだった

悪趣味かもだけど…ごめん気になるっ!

2人に心の中で謝りながら私は校舎の影にそっと身を隠した

『あのっ私…白石くんがずっと好きでした!もしよかったら付き合ってください!』


『…ごめんな』

少し胸を撫で下ろした


『俺な、好きな人居るねん』

え…?

『あ…そか、ごめんな!気にせんといて!』

女の子は泣きそうな顔で笑って走り去って行った

"好きな人"

どうしよう…今まで知らなかった

頭は真っ白で、胸はざわざわ騒ぐ



『…古西、居るんやろ?』

立ちっぱなしだった白石くんが振り返った

彼のもとに近づくと、頭にポンと手が乗せられた

『なんちゅー顔してんねん』

「だって…その、好きな人って…」

『ああ、お前や』

はい…?

『だからお前やって。…つーか、そもそも俺が何とも思ってへん奴にストーカーなんてさせるわけないやろ』

「え、ちょ、え…?」

『あーもう!仕切り直しや』

白石くんは肩をすくめてから私を真っ直ぐに見つめた


『古西、俺はお前が好きや。…返事は、聞かんくてもええやろ?』

彼はニヤリと強気な笑みを浮かべた

「…はい」


これからもずっと側にいさせて下さい

ストーカー?彼女?

何であろうと、私は君に夢中です!


公認ストーカー






ヒロインが残念すぎる件\(^o^)/

私なりに白石への愛をこめたつもりです!

なんかものすごく安産でした、何故ww


お読み下さってありがとうございました!!

美月


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