1000hit*初々しい恋 | ナノ

今からきみに告白します



俺には好きなやつがいる

「おはよー、切原」

同じクラスの古西那美
1年のときから同じクラスで
すっげー可愛いくて、その…一目惚れした
あ、もちろん顔が好きとかじゃねーよ?
性格だってすっげーいい
明るくてどんなやつにも分け隔てなく接するようなまんがの主人公みたいなやつ
とにかく、俺は古西がすっげー好き
けど

「朝からうっせーな、話しかけんな!!」

あいさつ1つ、まともに返せねぇ
頭ではわかってんのに、口から出るのは憎まれ口ばっか

「はいはい、おはよう」

そんな俺の言葉にも古西は笑っておはようって言ってくれる
…そういうところが好きだ

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「丸井せんぱ〜い、聞いてくださいよ〜」

放課後の部活
俺はいつものように丸井先輩に古西のことを相談する
本当は仁王先輩のがこういうことに関しては頼りになりそうだけど
今は試合中らしい
だから仕方なく丸井先輩

「お前今失礼なこと考えただろぃ」

「か、考えてないっすよ!!」

時々この部活の人はみんな読心術でも使えんじゃねーかって思う

「で、今日はどうしたんだよ」

「聞いてくださいよ!また…」

やっぱ何だかんだでこの人は優しいな、なんて思いながら朝のことを話す

「俺、嫌われたかもしんないッス」

「いや、お前それ毎日だから嫌われてんならとっくに嫌われてるから安心しろぃ」

「じゃあ俺どうしたらいいんスか!?」

「だーかーら、素直になれって」

「それができないから困ってんスよーっ」

丸井先輩に泣きつく
男に泣きつくなんてどうかと思うけどそれくらい俺は悩んでる

「そんなんでうかうかしとったら他の奴にとられるぜよ、赤也」

丸井先輩の後ろから試合を終えた仁王先輩が来た

「どういうことッスか」

「古西さん、3年の間でも可愛いって評判じゃからのぅ」

え!?

「あー、そういやD組の山本が告ったとか言ってたな」

は!?

「うちのクラスの谷本もナリ」

「…」

「どうした、赤也」

「俺、俺…行ってくるッス!!」

俺はいてもたってもいられなくって
コートを飛び出した
行き先はもちろん、あいつのとこ

「おー、やっと行ったか」

「ほんま、手のかかる後輩を持つと大変じゃのぅ」

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コートを飛び出したはいいけど古西がどこにいるかなんて知らなくて
とりあえず教室に行ってみた

「いるし」

教室にはなんの奇跡…いや運命だな
とにかく古西が自分の机で寝てた
つーか寝るなら家帰れよ、とかちょっと思ったけど今は古西のその選択に感謝

俺は古西の寝る前の席に座った

「すー」

気持ちよさそうに寝息をたてて寝る古西
やっぱ可愛い
つーか睫長ー
気づけば俺はかなり近い距離で古西の顔を見ていた

「ん…」

眠そうに古西の目が開いた
つまり、俺の目の前で古西の目が開いた

「!!」

「…きりはら?」

「あ…えと、お、お前のブッサイクな寝顔見にきたわけじゃねーからな!!」

いやいや
ブッサイクどころかすっげー可愛いかったっつーの!!

「へ?うん、どうしたの?っていうか私に用があるの?」

「ちげーし!!じゃなくてちげーから!!」

「?」

そう、俺は古西に告ろうと思ったわけで
そんで…
って、告るっつても何て言えばいいんだよ!?

「き、切原?」

「うっせーな!!今お前に告白すんのいろいろ考えてんだから黙ってろっつーの!!」

普通に好きって言えばいーのか?
ドラマみたいに長ったらしく言った方がいいわけ?
告白とかしたことねーからわかんねーんだけど!!

「…はい」

俺の言葉に古西が真っ赤になった理由を知るまで、あと少し


今からきみに告白します







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