1000hit*初々しい恋 | ナノ

終わらない恋になれ

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《この後、裏門で待ってます》

小さなメモには綺麗な字でそれだけが書かれていた

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私、古西那美はさきほど四天宝寺中学の卒業式を終えた


そして、私の好きな人は1つ下の後輩

明日からもう会えなくなるんだなー…

何でもっと早く想いを伝えておかなかったんだろう
こんな直前になって実感するなんて、私ってばほんとに…

憂鬱な気持ちを抱えたまま出た卒業式

退場するとき、財前くんと目が合った
彼はふっと笑ったけど、私はこらえていた涙が溢れてきそうで

『那美先輩』

「え?」

横を通り過ぎるとき、財前くんは私に折り畳まれたメモを手渡した


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教室を出ると、私は慌てて裏門に走った

はやく、早く会いたい――

そしてどうか、私に想いを伝える勇気を


「財前くん!」

裏門の桜の木の下に彼は立っていた
桜の花はまだ蕾のままだったけど

『ああ先輩、えっと…卒業おめでとうございます』

『あ、ありがとう…それで、どしたん?』

『まあせっかくやから、最後に先輩に善哉でもおごったろか思いまして』

そう言って財前くんは笑った

"最後に"

その言葉が私の胸を深く抉る

「どういう風の吹き回しなん?」

『…そんなん言うなら食わせませんよ』

「えー!ごめんってー」

こんないつも通りの会話がすごく愛しい

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「はー…めっちゃ美味しかった!」

辺りはもう暗くなっていた

黙ったままだった財前くんが口を開いた

『先輩、そこの公園でちょっと話しません?』

頷きながら、急に速くなった鼓動に自分で驚いていた

公園のベンチに座ると、またしばらく沈黙が続いた


『…ほんまに、卒業してまうんですね』

下を向いたまま彼は口を開いた

「そやな…私も実感ないけど。…寂しくなる、ね…」

じわじわ涙が出てきそうになる

何で私たちは同い年じゃないのかな
この1年の差がこんなに辛く感じるのは初めてだった

『…俺は、後輩になりたかったわけやない…わけやないんです』

その声は普段の彼からは想像もつかないくらい弱々しい声で

『何で俺は……こんなに那美先輩が好きやのに!』

「財前、くん…」

『…すみません、俺ほんま子供やな。どうしようもないのに…』

こんなに必死な財前くん、初めて見た

私も

「私も、財前くんが好き…でもずっと言えんくて、明日からもう会えへんのかなって、私の恋も…終わってまうんかな、って…!」

ずっと抱えてた言葉と一緒に、涙も止まらなくなって


泣きじゃくる私を、財前くんは抱きしめた


『終わらへんです…俺が、終わらせへんから』

そうして彼は私の背をあやすみたいに叩いた

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私がようやく泣き止んだので、また夜道を2人で並んで歩く

うわー…今思い出すと恥ずかしい!

『ちょお、何今さら顔赤くしとんですか…』

呆れる財前くん

「いや、だって…結構恥ずかしいことばっか言ったもん…」

『俺の方が恥ずかったわ』

見上げると財前くんの顔もほんのり赤くなっていた

「う……まあとにかく、これからもよろしくお願いします」

『ま、よろしく任されたりますわ』

そう言って彼は、いつもの強気な笑みを見せた


これからもずっと、大好きです


終わらない恋になれ







暗いのか何なのかワケ分からないことにww

財前くんのキャラが迷子ですね!
カッコいい財前くんを書こうと思ってたのに(´д`)

こんなぐだぐだ感MAXの話を最後までお読み頂き、ありがとうございました!

美月



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