メロウ | ナノ
詐欺師に送られる。
私も仁王くんも会計を済まして店を出る
仁王くんはさっそく唐揚げを食べ始めた
「椎名もいるか?」
「ありがとう。けどいいよ」
仁王くんの貴重な食料を奪ってはいけない
何より私にはアイスクリームが待っている
「くしゅん!」
「寒いんか?」
「ん−大丈夫」
なんて言ったけど本当はちょっと寒い
春とはいえ夜はちょっと冷える
一応長袖のTシャツだけどそれだけじゃ足りない
私も仁王くんみたいにパーカー着てくればよかっ…た?
「着ときんしゃい」
仁王くんが着ていたパーカーを私にかけてくれた
「え、いや、送ってもらうのに」
「ええから」
仁王くんに悪いと思いつつも
パーカーに袖を通す…大きい
「やっぱりお前さんは小さいの」
にやっと笑う仁王くん
「ひどい、気にしてるのに」
「椎名はそんくらいが可愛いぜよ」
頭が抑えつけられる
…高いなコイツ
っていうか可愛いって…
「仁王くんあんまりそういうこと言うの止めた方がいいよ?仁王くんかっこいいんだから変な誤解されてつきまとわれたりしたら大変でしょ」
「…椎名にしか言わんよ」
「え?」
仁王くんの声は私には聞こえなかった
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それから丸井くんは食べ過ぎだとか
赤也の英語はひどいとかそんなくだらない話をして家についた
「送ってくれてありがとうね。また何かお礼するよ」
「お礼?」
あれ、何か仁王くん笑ってる?
それも楽しいとかの笑いじゃない
何というか…妖しい?
「ん−、明日お菓子あげるよ」
「いらん」
おい!!
「えー、じゃあ…学食を…」
「それもいらん」
「もー、じゃあ何がいいの?高いのは無理だよ?」
「お金はかからんから安心しんしゃい」
「?」
仁王くんはさっきよりもっと妖しい笑みを浮かべてる
「俺とデートしてくれん?」
「…へ?」
この人は、何を言っているんだろう