メロウ | ナノ

詐欺師とコンビニ。

夜、リビングでテレビを見ている
テレビに映ってるのはバラエティー番組
まあまぁ面白い
あ、CM
今いいとこだったのに…

「…!!」

これは…!!
CMされたのはあの有名なアイスクリーム
新しいのが出たのか
…食べたい

「お母さん、ちょっとコンビニ行ってくるね」

我慢できない私は気づけばお財布を持ってソファーから立ち上がっていた
…今度から丸井くんに食い意地がはってるとか言わないようにしよう

「あ、するめ買ってきてー」

母よ、娘が夜に出かけるのに心配どころか
おつまみを頼むとはどういうことか

「未緒…」

「何?お父さん」

父よ、娘を心配して…

「お父さんはポテトチップスが食べたいな」

いなかった

---------------------

家の近くには残念ながらコンビニはないので
学校の近くのコンビニまで歩くこと30分
目当てのコンビニに着いた
とりあえずアイスクリームをかごに入れて
するめも入れる
お菓子コーナーでポテトチップスを入れたら
今度は自分のお菓子を探してみた
だって自分のお菓子も欲しいんだもん

「椎名か?」

「へ?」

聞き慣れた声
顔を上げるとこれまた見慣れた銀髪

「こんな時間に中学生が何しとんじゃ」

「仁王くんこそ」

声の主は仁王くん
おぉ、私服だ
パーカーにジーンズ、シンプルだけどよく似合ってる

「女の子がこんな時間に出歩くもんじゃなかよ」

ぽんぽんと私の頭を撫でる
あ、ちょっと呆れてるかも

「まあまあ、仁王くんはどうしたの?」

「晩飯買いにきたんじゃ」

「こんな時間に?」

あ、ちなみに今は9時くらい

「今日は姉貴がおらんけぇ。面倒くさいからコンビニじゃ」

仁王くんはお姉さんのところで下宿をしてるらしい

「…相変わらずの食生活だね」

仁王くんのかごの中には焼き肉おにぎりが2個

「唐揚げも食べるナリ」

お肉ばっかじゃん

「椎名が買うんは決まったんか?」

「え、あーうん」

もうお菓子はいいや

「んじゃ買ってきんしゃい。送っちゃる」

「え、いいよ。悪いし。仁王くん反対方向でしょ?」

「女の子がこんな時間に出歩くもんじゃなか言うたじゃろ」

「そうだけど…」

「大人しく送られんしゃい」

さっきみたいに軽くじゃなく
今度は頭をぐちゃぐちゃに撫でられた
…どうやらお言葉に甘えるしかないらしい

 


- ナノ -