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ガムとハゲとお昼休み。

図書室の痛い視線から逃げるように私は教室に戻った
あぁ、私のお弁当…!!
待たせてごめんよ、マイハニー
お腹が空きすぎてそんな変なことを考えながら
私の席に向かうとジャッカルくんが私の席に座っていた

「あれ?」

その前の席には丸井くん
ちなみに私の席は前が丸井くん、隣が仁王くんという
周りの女子からすればなんともうらやましい席だ

「椎名じゃねぇか。悪いな、席借りてた」

ジャッカルくんが慌てて私の席から退く
さすが立海大テニス部の良心その1
あ、その2は柳生くんです

「ううん、全然いいよ」

「つーかお前まだ昼食ってなかったのかよぃ?」

「精市の用があってね。二人も学食行くって言ってなかった?」

"に"じゃなくて"の"なのは私のささやかな抵抗

「そう!!聞いてくれよ!!俺は今日ハンバーグの気分だったっつーのに今日はハンバーグじゃなくてオムライスだったんだよぃ!!」

購買で買ったであろうハンバーグパンを頬張りながら丸井くんは怒ってる

「それは…調べておこうよ」

「いや、今日はハンバーグの日だったんだよ。それが今日は肉が仕入れられなくて急遽オムライスになったらしい」

「…ったく、おかげでハンバーグパンだぜぃ!!」

「お前…俺がおごってやったパンに文句言うなよ」

おごってってあげたのか…
多分ハンバーグがないって丸井くんが文句を言ってたのをジャッカルくんが
宥めたんだろうな
うん、想像ができるよ

「あー、くそっ。帰りハンバーグ食って帰ろうぜ、ジャッカル!!」

「まだ食うのかよ!!」

「ったりめーだろぃ!!椎名もどうだ?おごってやるぜ、ジャッカルが」

「俺かよ!!」

ジャッカルくん…不憫…

「いいよ、ありがとう」

「そうか?遠慮すんなよぃ」

「お前が言うな!!」

「うーん、二人の部活終わるまで待つの面倒くさいし。また時間つぶせるもの持ってきたときとかにするよ」

「んじゃ、また誘うな!!」

にかっと笑顔を浮かべる丸井くん

今ハンバーグ落ちたよ
…やっぱり拾ううんだ
さて、私もお弁当を食べようかな

キーンコーンカーンコーン

「え…」

私のお昼はどうやら私の胃の中に入ることは
叶わないようだった

 


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