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神の子の用事と参謀と図書室。

昼休み、朝に精市のお母さんに預けられたお弁当を精市のクラスにまで持っていく
おばさんよく寝坊するな…

「精市、これ」

「あぁ、今日は忘れなかったんだ。ありがとう」

精市にお弁当を手渡すと
代わりに一冊の本を手渡された

「えーと…」

「これ今日までなんだ。俺は今からお弁当を食べないといけないから返しておいて」

出た、さわやか魔王スマイル

「誰が魔王だって?」

「ごめんなさい…って心読まないで!!」

「ふふ」

あ、やばい

「ごめんなさい。返させていただきます」

「うん、よろしく。さすが俺の幼なじ…下僕だね」

「何で言い直したの!?幼なじみでいいじゃない!!」

「え?」

「下僕でいいですごめんなさい」

私弱いな…
まぁ今日は丸井くんはジャッカルくんと食べるらしいし
仁王くんも3時間目からいない
多分屋上でサボってるな
そういう訳でお昼を食べる約束をしてるわけでもないからいいんだけど
このまま図書室に寄ってからお昼にしよう

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「あれ、柳くん?」

図書室には柳くんがいた
今日も目を閉じてる
いつも思うけど見えてるのかな?

「椎名か。返却に来たのか?」

「うん。精市に頼まれてこれ…黒魔術のススメ…?」

ここにくるまで気付かなかったけど
なんてものを借りてるんだ、精市!!
誰!?
誰を黒魔術にかける気!?
私!?
私なの!?

「ふむ、さすがだな。大方弦一郎にでも試す気だろう」

あ、真田くんか
ありがとう真田くん
君は私のヒーローだよ

「柳くんは?」

「俺は本を借りにきたんだ」

柳くんの手には難しそうな本がある
ちょっと見せてもらったら字がぎっしり

「すごいね」

「好きなだけだ。誰でも好きなものなら年齢など関係ないだろう」

「まぁ、確かに」

ちらっと精市の本を見る
これも絶対中学生の読む本じゃない
いや、頭が中学生…主に中学生2年生の人はむしろ読むのかな
あ、だからって精市がそうだなんて言ってないよ!!
ほら、やつはきっと使い手だから!!

「椎名、精市は人間だぞ?」

「柳くんまで読心術を!?」

「いや、声に出ていたぞ」

「あ、ごめん」

「謝る必要はない。ただここは図書室だからもう少し静かにした方がいい」

周りを見れば私に視線が集まっていた
…ごめんなさい

「私、恥ずかしい…」

「気にすることはない。今さらだ」

「…」

痛い視線を感じながら本を返却する
返したらさっさと出よう
この視線に耐えられない

「じゃあ柳くん、またね」

「あぁ」

柳くんはもう少し図書室にいるらしい
私はお弁当の待つ教室にそそくさと帰った


 


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