メロウ | ナノ

ピアスと聖書。

side 財前

「お疲れ様です。お先に…」

「待ち、財前」

「…はぁ」

今日の部活が終わって帰ろうとしたところ
何の理由かわからんけど白石部長に呼び止められる

「俺寄りたいとこあんねん。何か奢ったるから付き合ってや」

「…まぁ、いいですけど。ほな、ぜんざい頼みますわ」

「ほんま好きやなー。ほんならもうちょっとで部誌書き終わるから待っといてや」

「へーい」

テニスバッグを下ろして
ベンチに座る
他の先輩らはどんどん帰ってく
いつも白石部長と帰っとる謙也さんも今日は先に帰る

「ほんならな、財前。白石も、頼むで」

「おん」

「ちょっ、頭ぐしゃぐしゃにせんといてくれます?」

謙也さんは去り際に俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でてきた
うわ、これ絶対頭変になっとう
俺は謙也さんのすね目掛けて思いっきり蹴ったった
何か文句言うとったけど知らん
さっさと帰れ

「…よっしゃ、終わった。待たせてすまんなぁ」

「別にいいっすわ」

「ほんならまずコンビニ行こか」

「どーも」

学校から出て近くのコンビニでぜんざいを奢ってもらう
しかもちょっと高いやつ

「で、どこ行くんです?」

「せやなー、ちょっとあそこの公園でも寄ろか」

「はぁ…」

コンビニの近くにある公園のベンチに部長と二人で座る
うわ、キモ…
とりあえず俺はぜんざい食お

「…なぁ、財前なんかあったか?」

「はぁ?」

俺がぜんざいを口に入れようとしたら部長の真剣な声
見たら声だけやなくて顔も真剣やった

「昨日からなんか沈んどるやろ。謙也も心配しとったで」

あぁ、やからさっき頼んだで、って
ちゅーか、用ってこれかい

「別になんもないっすわ」

「嘘言いな。隠しとるつもりなんかもしれんけどばればれやで?」

「…」

「従姉妹にでも振られたん?」

「振られてへんわ!!…って何で」

部長が未緒のこと知っとんねん

「ばればれや言うたやろ。前に財前が従姉妹のこと話すときの顔見たらわかるわ。で、振られたんやなかったらどうしたん?」

ほんま、この人は…
さすがは部長って言うたらいいんか
よう人のことを見てる

「…言うてもうたんですよ、好きやって」

「そうか」

「言うたら最後でしょ。もう前みたいな関係には戻れん。崩したくないと思った関係は俺自身が崩したんですよ」

「…せやな。もう前と同じ関係なんて無理やと思うわ」

やっぱり…

「当たり前やろ。人間の関係なんて常に変わっていくもんやねんから」

「!」

「告白したから関係が崩れた?ちゃうやろ。関係なんて今まで崩れてまたできての繰り返しやろ」

部長は俺の頭に優しく手を置いた

「何度目になるかわからん崩れた関係を今度はどうするかは自分次第やと思うで、財前?」

俺次第…?

「まだ振られてへんのやろ?ならもうちょい頑張り。惚れさせたモン勝ちや」

「…惚れたモン負けやないんですか?」

「俺らに負けの二文字はないからな」

自信満々に言う部長を見たら思わず笑ってしまった
さっきまで沈んでたんが嘘みたいに心が軽なった気がした
惚れさせたモン勝ち…なぁ
俺らに負けの二文字はないらしいから
まぁ、十分に覚悟しとけや未緒?



無理やり感…
しかも夢主が本気で登場してなくてすいません

これでしばらくは財前くんのターンは終了です(o´v`o)
次は仁王を活躍させるぞ!

ありがとうございました

荊姫

 


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