メロウ | ナノ

王者の皆さんとお昼ご飯。

何かの本に書いていた
友情は人生における宝だと

まぁ私からすれば友情とは何ぞ?
とか思うわけで
ご丁寧なことにそれも本に書いていた

一緒にご飯を食べたり笑い合ったりすれば友達で
助け合ったりしたら親友で
キスでもすれば恋人らしい

つまりはどんな関係でも友達の延長線上ってこと

なるほど、恋っていうのはいつ友達から発展するのかわからないってことですか
あれ、違う?
まぁ私はこう解釈したわけですよ


なんていろいろ語ってみたけれど
今の私には恋人はいない代わりに
親友と呼んでもいいんじゃないかと思う友人はいると思う

そっから恋に発展することはあるのかな?
なんてたまに考えることだってある
すぐ否定するけどね
だって今の関係が楽しいと思うから
けど、もし恋に発展するというなら
一体誰と、どんな恋をするんだろう…


なんて考える中3の春だった


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「なぁ海風館行こうぜぃ」

「何で?」

お昼休み
私は待ちに待ったお弁当を机に広げる
仁王君もコンビニで買ったのであろうパンにかじりついていた
相変わらず少ないな
で、丸井君はお弁当はいつも早弁してるから
今持ってないのはいいとして
購買のパンは?
いつも買ってるのに

「朝一緒にコンビニ寄ったじゃろ」

「もう食っちまったっつーの。ずっとパンとか飽きんだろぃ。ほら、行こうぜぃ」

「丸井君1人で行ってきなよ。私仁王君の尻尾を触るのに忙しいから」

お箸を片手に目の前の仁王君の尻尾をつか…めなかった
くそぅ、避けられたか

「いいじゃない、触らせてくれても」

「椎名がちゅーしてくれたらええぜよ」

「ごめんなさい」

「お前ら俺を無視すんなよぃ」

忘れてた
だって私にとったら丸井君のご飯よりも
仁王君の尻尾の方が重要なんだから仕方ない
嗚呼、触りたい

「仕方ないなぁ。いい?」

「椎名がええなら構わんよ」

私は自分のお弁当をまとめて立ち上がる
仁王君はパンをゴミ箱に捨てようとしてたけど
丸井君に止められてあげた

「お前もったいねーことすんなよな」

「じゃって海風館行くんじゃったら俺だって焼肉定食食いたいんじゃもん」

もんって仁王君には似合わないな
あ、丸井君もそんな顔してる

なんて話しながら海風館の入口の前に着いた

「…」

何だろう
なんか、入ってはいけない気がする
この先には恐怖しかないような…

「何してんだよ!行くぞ!!」

丸井君に無理やり手を引かれて中に入る

「ちょっ…」

「あれ、未緒?」

これは幻聴
そう、幻聴…

「未緒?」

…じゃ、ないよね
恐る恐る声のした方へ顔を向ける

「精市…」

そこにはにっこりと素敵な笑顔を浮かべた幼なじみの姿が
あ、隣には真田くんと柳くんもいるな

「めずらしいね。未緒が海風館に来るなんて」

「丸井君が食べたいって。精市もめずらしいね」

「誰のせいかわかってる?」

「ワタシデス…」

そい、私と精市は幼なじみで
漫画みたいに家が隣同士とまでは言わないけど結構近い
というか精市の学校の通り道に私の家がある
私のせいっていうのは今日の朝寝坊した精市のお母さんが
私に精市のお弁当を預けたんだけど
私がそれを家に忘れてきたからだ

「わかってるみたいだね。それじゃ、俺デザートにプリンが食べたいんだけど」

「買ってきまーす」

丸井君と仁王君と一緒に列に並ぶことになった

「ふふ、ありがとう。席はとっといてあげるよ」

「嬉しいデス」

あーあ、今月ピンチなのに

「お前さんも大変じゃな。ほれ、俺が払ったるけぇ座っときんしゃい」

「もしかして入れ替わってる?」

あなたはどこぞの紳士ですか

「ひどいナリ。払ってやらんぜよ?」

「ごめんね。冗談だから」

いや、ちょっと本気だったけど

「おごってくれるんだし私が運ぶよ」

「構わんよ。女に持たせるわけにはいかんじゃろ」

「…ありがとう」

そりゃあ仁王君はモテるだろうな、と再認識して
今日のお昼は6人で楽しくご飯を食べた


 


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