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ピアスは見た。


side 財前

朝起きたらリビングにはすでに未緒と仁王さんがおって
入りにくなぁとか思っとったら会話の内容が聞こえてきてもっと入りにくなった
どうしようかと迷っとったら仁王さんがもう出るってことでこっちに向かってきた

「げ…」

思わず階段の方に隠れる

「邪魔したぜよ」

「いえいえ。いってらっしゃい」

隠れてるとはいえもちろん会話は聞こえてくるわけで
まぁ内容は普通の見送り
俺何で隠れとんねん

「いや、未緒と結婚したらこんな感じかと思っての」

「〜っ、バカ!!」

…!

「いってらっしゃいのちゅーはないんかのぅ」

あかん
いらいらする
さっき普通に見送っとってんからそのまま出てけや
…って、関係が壊れるんが怖くて未緒に自分の気持ちも伝えられてへん俺が文句言う権利なんてない
俺は階段から顔だけ出して二人を見た

「!」

未緒は仁王さんに抱き寄せられとった
未緒を抱きしめた仁王さんの目は俺をじっと見つめとる

「好きじゃよ、未緒。早よ俺んことだけ見て欲しい」

俺から目線を外したと思うと
愛おしいものを見るような優しい目で未緒を見てそう言った

(…牽制のつもりかい)

未緒に何も伝えてへん俺がこんな風に思う権利はないんかもしれんけど
そんな二人を見るんがたまらなく辛くて、
そんでたまらなく悔しかった


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前回の財前くん視点verです
実は彼もいました
何か財前くんのターンが多い(´_`)
仁王連載なのに←

ではありがとうございました

荊姫

 


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