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ピアスにしてやられた詐欺師。



ばくばくする心臓をなんとか押さえ込んで…
いや、なかなか押さえ込めなかったけど
私は残らのお肉を切り、いよいよホットプレートに焼き始める

「仁王くんちゃんと野菜も食べるんだよ」

「ピヨッ」

「仁王くん?」

「…あーんしてくれたら食う」

少し不満そうに、だけど口角は妖しく上がりながら仁王くんはそう言った

「してくれんと食わん」

「じゃあお肉も食べさせないから」

「別に一食ぐらい食わんでも生きていけるぜよ」

「あぁ言えばこう言う!!」

「プリッ」

もうお肉だけで食べるのを許そうか
いやいや、健康に悪いでしょ
学校でも仁王くんいっつもパンだけとかだし
海風館行ったとしても焼肉定食のお肉しか食べないし
かと言って食べさせないのはもっと駄目だし…

「あーん」

「むぐっ」

「光!?」

光の手にあるお箸は仁王くんの口に突っ込まれていた

「ほら、あーんしたっんやから食ってくださいよ、仁王さん」

「おまんにやって欲しいなんて言っとらんのじゃけど」

「未緒やなんて言ってなかったんで」

しれーっと今度は自分の口にお肉を運んでいる
さ、さすが!!
仁王くんは恨めしそうに光を見ている

「もう…ほら、お肉食べていいよ」

「未緒はあーんしてくれんの?」

「まだ言うか!?」

「一人で食べられんのやったら俺が何度でもやったりますよ」

「遠慮するぜよ」

「ふふっ」

思わず笑ってしまった
それからは仁王くんも普通に食べ始め、謎な三人での夕飯は終わった


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財前くんったら…お茶目←
仁王詐欺師のくせに…www

ありがとうございました

荊姫

 


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