電話越しに彼のセリフ | ナノ

声、聞きたいと思て(財前)

「古西、これ」

手渡されたCD
昨日私が財前に聞きたいと言ったやつやった

「家にあったわ。聞くやろ?」

「うん!おおきに」

「返すんいつでもええから」

私にCDを渡して財前は部活に行ってしまった

「ええなぁ那美財前くんと仲良くて」

「うらやましいっ」

私と財前のやりとりを見て盛り上がる友達
2人は財前のファンや

「でも、那美やから財前くんと仲良くても許せるけど他やったら許せんよな」

「何で?」

「だって那美下心とかなさそうやん?財前くんもやし」

「ま、まぁね」

ドキッとした
本当は私だってみんなと同じ
下心なんてめちゃくちゃある
みんなと違うのはファンなんかやなくて
本気で好きってこと
いや、みんなもそうなんかもしれんけど
ああでも…みんなから見てやっぱ財前は私のこと何も思ってへんよな
ただの友達…
それ以上なんて無理や

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今日は全国大会の準決勝らしい
友達はわざわざ東京まで応援行ったり応援メール送ったりしてるらしいけど
私は何もしてへん
やって、ただの友達がそんなんするんおかしいやん?

「ほんまはメール送りたいんやけど…」

もう夕方
今日の試合は終わったんかな?
勝ったんかな?
財前は試合に出たんかな?

プルルルッ

携帯が鳴った
ディスプレイには財前光
私はびっくりして一回切りそうになったけど
落ち着いて電話をとる

「もしもし?」

「古西?俺やけど」

電話から聞こえたんは落ち込んだような財前の声
…負けたんかな

「うん」

「試合、負けてもた」

「うん」

私はそうとしか返事できんかった

「…」

私も財前も黙ってしまった

「…悪かったな」

先に沈黙を破ったのは財前やった

「え?」

「いや、いきなりこんな電話してもうて。しかも内容負けたことやし」

「別にええけど。…何で?」

「…負けてガラにもなく落ち込んどったらなんか古西の声、聞きたいと思て」

「…!」

それだけや、と財前は電話を切った

ただの友達やってわかってる
けどそんなこと言われたら
少しだけ…自惚れてもええんかな?


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