妄想ラバーズ | ナノ

強制イベント発生

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それはそれは濃かったテニス部見学から何日か経ち、私も次第に大阪生活に慣れてきた

いつも通りひとりで登校しながらお気に入りの歌い手さんコラボを聞いてにやにやする私

ぽん、といきなり肩に手が置かれた

「うひゃあ!!」

『…朝からなんちゅー声出してはるんスか。おはようございます、羚奈先輩』

「財前くんか…おはよう」

びっくりしたあああ

てか

「あれ?財前くんって家こっち方面だったんだね」

『ええ。部長や謙也さんは反対ですけど。』

それにしても改めて近くで見ると

「…チャラい」

『…ケンカ売ってるんスか?』

いやいやカッコいいけどね?!

まあそんなこんなで、奇妙なことに今朝は財前くんと登校することになった

………
……



『あ、水瀬さんと財前や』

ちょうど校門に差し掛かるあたりで白石×忍足…ちがった、白石&忍足ペアに出会った

「あ、おはよう」

『聞いてや水瀬さん!朝から白石が苛めてくんねん!』

そう言って駆け寄ってくる忍足くん
あーハイハイ、のろけですか←


『そんなん謙也さんがヘタレやからやないですか。』

『ちょ、光!お前もっと先輩を敬えや!』

『無理っスわ。』

そりゃあ君たちは先輩後輩だけの仲じゃな…げふんげふん

「朝から素晴らしいね白石くん」

『おん。イイ朝やな!』

爽やかに微笑む彼の脳内イメージがなんとなく分かるww


『あ、せや!水瀬さんら今日の昼休み俺らと一緒に食べん?』

「…へ?」

『おお、ええやん!そうしようや』

『俺も居りますよ。…まあ千歳先輩は居らなさそうやけど』


…どういう状況だこれは

てかよく考えたら朝からすごいメンバーで登校してるし!

昼もあの眩しいテニス部と?!

「いやいやいやいやいやそんな」

そんなんどこぞの乙ゲーですか


『ええやん!……な?』

「う…」

なんか白石くんの笑みから有無を言わせないオーラが放出してらっしゃる!

「…黒石くん?」

『え?何やて?』

「ごごごめんなさい!!…ぜひご一緒させていただきます!」

『決まりですね、さすが部長。』

ニヤリと黒石的スマイルを浮かべる財前くん

あれ、アナタもですか…?


とりあえず強制イベントが発生したらしい


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瑞稀に泣きつくと快く一緒に行くと言ってくれた

従姉妹ってスバラシイ…!

それでもうすぐ昼休み前のチャイムがなるんですが

(何やってんの、この人)

お隣のテニス部部長さまはさっきから消しゴムとシャーペンを見つめたまま動かない


キーンコーンカーンコーン

『よっしゃあ!食堂行くで!』

前の席で急に立ち上がる忍足くん

ハイハイ…、と瑞稀にウザがられながら歩いていく2人の後ろで、思わず白石くんに聞いてみた

「何やってたの?さっき」

『え?いやー…消しゴムとシャーペンは擬人化したらどっちがどっちかなって☆』

☆って…

「それ私もやったことある(笑)」

『悩むよな!ちなみにどっち?せーの』

『「シャーペン攻め」』

「だよね!消しゴム健気受け!」

『シャーペンが不良攻めやんな!んーっ、エクスタシイイイ!』


私は思った

白石でも黒石でも、やはり彼は天下の腐男子さまである



―昼休みが、始まる


(定規も美味しいやんな!)
(分かる!他にも)
(後ろの2人うるさい…)



 


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