妄想ラバーズ | ナノ

テニスと萌えトーク

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「………。」

いよいよテニス部の活動が始まり、私はベンチに座って見学している

だが


バコンッ
シュパンッ
ドガ−ンッ

「テニスって…こんなだっけ?」

いやいや明らかにおかしいでしょ!
え、ほんとに中学生だよね?

なかなか目の前の光景についていけずに呆然とする私


しかし白石くんたち、いつもこんなに練習してるんだなあ…

部長らしく指示を飛ばす彼の姿は、教室でのそれとはまた違って見えた


やっぱカッコいい…

運動部マジックとかそういうのを差し引いても、白石くんは三次元的レベルが高すぎると思う


『水瀬!』

はっ!
リアルに白石くんにみとれてしまっていると、忍足くんが手を振りながらやってきた

ぜんざいP様…いや、財前くんも一緒みたいだ

『どや?俺らの部活は』

「いやー…ほんとすごいなあって思ってた」

もはや人外かと

『せやろ!俺ら今からダブルスの試合やるから見ててや!よっしゃいくで、光ー!』

『謙也さんやかましいわ。ほな羚奈先輩、俺も頑張りますんで』

忍足くんに腕を掴まれてコートに向かう財前くん

『もう離せや謙也さん!』

『別にええやんけ。やったるでー!!』

『はあ…』



こ、これは…!

『あの2人、萌えるよな』

気がついたら白石くんが隣に立っていた

「うん!!駄目だ、あれはヤバい萌える」

『せやろ!もう反則級にエクスタシーやわ!!』

「うんうん!!財前くん強気ツンデレ受けの謙光ですね分かります!」

『謙也ヘタレ攻めやろ!!謙光おいしすぎるっちゅーねん!…でも光謙も捨てがたい…!!』

「あー…それもイイね!アリだわ!」

『やけどやっぱり普段生意気後輩な財前やからこそ謙光は神やと思う!!俺あの2人だけで部室おるとき入っていいもんかめっちゃ悩むねんけど!!』

「扉の向こうは薔薇色世界だね!いろんな意味で!」

『ほんまな!最強ダブルスやわいろんな意味で!』


すごい……!

こんな残念な頭の私とやりあえるなんて…!

なんて残念なイケメンなんだこの人!


『さすがや、水瀬さん。よう分かっとる』

うんうんと満足そうに頷く白石くん

「いや、白石くんこそ……是非また謙光ネタ提供してね!」

『任せとけ!全力で語ったるわ!』


イキイキしながら白石くんは瑞稀のもとに休憩に行った

さて、私も全力で萌えるダブルスを拝まないと!!

私は目をギラギラ輝かせて試合の始まるコートに向き直った

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『……聞こえとるっちゅーねん』

さっきから羚奈先輩と部長のBLトークが完全に聞こえていた

あの人、あんな綺麗な顔してはるのに部長の同類とか…

ギャップ通り越し過ぎてもはや違和感ないような気がしながら俺は隣の謙也さんを見た

俺が謙也さんと、ねえ…

『いやいやいやいや、おかしいやろ』

俺は腐ってはおらんからよう分からんけどな…

でも、羚奈先輩はそれを除いても他の女子らとは違う気がする
俺らの顔だけみてやかましく騒いだりせんし


まあ、また楽しみが増えたってことで


そう思いながら俺はラケットを握り直した


(あいつら何の話しとんやろ?)
(…謙也さんは知らんくてええっスわ。ほら、はよ試合終わらせましょ)
(お、おん…)


 


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