妄想ラバーズ | ナノ

王子様の裏の顔

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や…やっと着いた…

思いのほかメイトに着くのに手こずった件
方向音痴だからね!

「瑞稀について来てもらえばよかったかなー…」
もう部活も終わっただろうし

まあいいや
さてさて、久しぶりの新刊BL…!

表紙を吟味してさくさく手に取っていくと、突然真横で声がした


『水瀬さん…?』

心臓がバウンドするくらいびっくりして振り向くと


白 石 く ん


「…!え、ちょ、なんで!?」

いや普通におかしいだろ!
え、だってイケメンですよ?完璧くんですよ?

「ど、どどどどどういうこと!?」

『テンパりすぎやろ…しかしこんなとこで会うとはなー…』

彼の手をみると私と同じように新刊のBL本が数冊抱えられていた

え…っと、つまり…

「…白石くんて、腐男子?」

『おん。自分も腐女子やってんなあ…』

そんなあっさりと…
いやでもこれは

「何というか…意外すぎる」

『それはこっちのセリフやわ。転校生の超美少女が同志とか何の漫画やねん』

ほんとだよ、何の漫画だよ



「あ、これもうすぐアニメ化するんだったね」

平積みしてある某有名BL本を指して呟くと、急に白石くんが手を握ってきた

「ちょ、何」

『俺もこれごっつ気になっててん!!原作読みたいなって!』

目をキラッキラさせる白石くんに若干押されつつ

「あ、私全巻持ってるよ。よかったら貸そうか?」

『ほ、ほんまに!?おおきに!!』

「じゃあ明日持って行くねー」

こんなイケメンとこんな約束するなんて…ほんと人生何があるか分からない

なにやら深いことを考えながら2人でレジに向かった

『よかったら途中まででも一緒に帰らへん?…いろいろ語りたかったり』

「いいよ!喜んで」

嬉しそうに笑う白石くんに微笑み返して、私たちは帰路につくことにした


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「白石くんって学校では本性隠してるの?」

『いや、テニス部は知っとるで。もちろん進藤も』

瑞稀も?
ああ、あの言い淀んだのはそれだったのかな

「いやー、でも全然わかんなかった!」

『あー…なんかタブーやと思われとるみたいでみんな口外せえへんねん』

そう言って苦笑する白石くん
そりゃあな…完璧イケメン部長が腐男子だったらな

「テニス部といえば、忍足くん可愛いよね。何というか…わんこ受け?」

『ああ、確かに謙也は受けやな!総受けの素質あるわー』

「てかむしろ私は蔵謙だと思ってた!」

本人に言ってみちゃう私←

『ほんま?それはそれで確かに美味しいな』

いやいやいや
自分で言ってどうするww

『あ、でも謙也は…せや、今度テニス部いっぺん見学来おへん?…おもろいもんが見れんで』

「うそ、それは楽しみw瑞稀もいるし是非行かせてもらおうかな」

『決まりやな!』

なんか…嬉しいな
こんなに腐語りできる人と仲良くなれて
しかも男子…

「あ、私ここからバスなんだ。今日は本当にありがとう!」

『おん、気いつけてな!また明日』

白石くんは爽やかに笑って手を振ってくれた
しかしほんと意外…


とりあえず早く帰って新刊ちゃんたちを読まないと!
全力でにやにやしながら私はバスに乗り込んだ


(明日学校行くのが楽しみになったかも)
(明日学校行くんが楽しみやな…)

 


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