妄想ラバーズ | ナノ

再会

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「ふー…」

ようやく1時間目の授業が終わった

『羚奈』

「瑞稀!久しぶり!」

『いや昨日も会ったやん』

愛しい従姉妹に抱きつくと無表情でつっこみを入れられた

彼女―進藤瑞稀と私は従姉妹同士で、そういえば昨日家に遊びに行ったんだった
てか本当に同じクラスでよかったー…!
私は趣味的にも性格的にも普通の女子は苦手だったりするんだよね

『あれ?水瀬さんと進藤はどんな関係なん?』

横から白石くんが尋ねてきた

『ああ、従姉妹やねん』

淡々と返す瑞稀
クーデレなんだよ!可愛いよ!


『へー…そうなんや!それにしても2人とも別嬪やから並ぶとすごいな…』

え、私も?それはないでしょ…

確かに瑞稀はショートカットに涼しい目元のまさにクールビューティー!って感じだけど

てかまずあなたが一番キラキラしてるよ、白石くん

『あんたに言われたくないわ。でもまあ白石も仲良くしてやって、その……いや、やっぱ何でもない』

なんか言い淀んだ瑞稀に疑問を感じながらも、またチャイムがなったので私も席についた

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「ふいー…やっと1日終わったー!」

『お疲れ様。初日だし疲れたやろ』

そう言って私の頭をポンポンと撫でる瑞稀
惚れる…!

『あ、そうそう。悪いんやけど私今から部活やから。先帰ってて』

「えっ!瑞稀部活入ってるの!?何部?」

こんなに無気力っぽく見えるのに…
あ、でも運動部だったら絶対カッコいいわ

『え、テニス部のマネージャーやけど。』

「ええええ!うそ、マネージャー!?」

まさかのマネージャー!?

『ちなみに白石が部長。謙也もレギュラー。』

そ、そうなんだ…
そう言えば朝会ったときもラケットっぽいケース持ってた気がする

『しかもウチのテニス部は強豪やし、美形が結構多いからファンクラブなんかもあるねんで。特に白石なんかは、ね』


白石くんか…
成績も良いみたいだし、容姿端麗で運動神経も抜群って…
いよいよ少女漫画だな

「へー…完璧な人なんだねぇ。まあ私は三次元の男子には興味ないけどな」

『…ハイハイ。ま、ファンクラブにはあんたも気をつけな。まあその顔やったら大丈夫やと思うけど…』

あれか、もはや相手にされない感じか!
ちょっと寂しいぞ!

『じゃあまたな』

「おう。バイバイー」

しょうがない、瑞稀も部活行っちゃったことだし…

大阪初メイトにでも出陣するか!


久しぶりのヲタ巡りに心を踊らせながら私は校門へと向かった

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やっぱりまだ自覚ないんやな…

私の従姉妹、水瀬羚奈は実はほんまに美少女やと思う

外見はな

中身は重度の腐女子やけど、おおよそ普通の女子が欲しがるもんは全部持ってる

サラサラ流れる漆黒の長い髪も
黒目がちの大きな瞳も
ほっそい手足も
真っ白な肌も

…まあ特に最後のはただ家でアニメばっか見て引きこもってるからやろうけど


なぜか全く自覚がない

『いったい東京の人間も何を見とったんやろな…』

果たしてこの大阪で、ウチの可愛い従姉妹にはどんな変化があるんか…

ま、白石のあのこともあるしな


これからの毎日に少し期待を抱きつつ、私は部室へと足を踏み入れた


(進藤、なんか楽しそうやな?)
(は?別に。うっさいねん謙也は)
(ちょ、ひどい!!)

 


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