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氷河期に想いを

※『氷河期に思いを』の白石視点

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応接室のふっかふかのソファで跡部くんと打ち合わせを終え、一息ついていた

「氷帝はマネージャー居らんのやったっけ?」

『ああ。だからお前らのところの2人に任せることになるぜ』

「あの2人なら大丈夫やわ」

ガチャ

『もう打ち合わせ終わったん?』

『あーん、侑士じゃねえか』

忍足くんは跡部くんの隣に座った


『ところで、羚奈は何でマネージャーなったん?』

「俺が誘ってん。でも氷帝やったんは知らんかったわー」

『ああ、突然引っ越して行ったからな』


もう彼女が来て2カ月以上が立つ

それはつい最近のことのように思えた


『羚奈は…元気でやっとるみたいやな』

「お、おん」

跡部くんも忍足くんもふいに表情を暗くした


『羚奈は、いつもひとりやった。2年で最初同じクラスになったときは、めっちゃ綺麗な子やと思ったわ』

たしかに水瀬さんは美人や
…本人は全く自覚ないけどな

『ある日俺が屋上でアニメ雑誌読んどったらアイツが来てな、めっちゃ意気投合してん。それでまあよお喋るようになってんけど…女子が、な』

ああ、なるほど

読める展開に胸がドキッとした

『ああ…確かにひどかったな』

『カバンの教科書とか漫画とかは破られたりして、呼び出しもしょっちゅうやった。特に羚奈の趣味のことで誹謗中傷されとった』

ズシッと胸が重くなる

『まあそれで、余計俺も話せんくなって…いつのまにか急に転校して行ってもてん』


ああ、だから

この前出かけた帰りの彼女の言葉

「だから白石くん達と出会えて、四天宝寺に来て本当によかった!」


あのときの笑顔が脳裏に蘇る

今は?

今、彼女は…


『白石?』

「ああ、いや。でもその話が聞けてよかったわ」

すると跡部くんは少し口元を緩めた


「じゃあこれから5日間、よろしゅうな」

立ち上がって俺は応接室を後にした


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今の水瀬さんには進藤も財前も謙也も、俺も居る


俺は水瀬さんとこれからもずっと一緒におりたいと思う

あの綺麗で、柔らかい笑顔を見ていたい


「好き、なんか?」


無意識に呟きが零れ落ちる


俺は恋をしたことがない

…まあ二次元に恋しとるってわけやないけど、一緒に居たいと思える女には出逢わんかったから

まだはっきりは分からんけど、ただ1つ言えることは


水瀬さんは、違うということ



「お疲れさん。打ち合わせしたいから入らせてもろてもええ?」

マネージャー部屋の扉をノックする

『いいよー』

少しの時間見てへんかっただけやのに、彼女の姿を見つけると何処かほっとする自分が居た

「はは、めっちゃくつろいどるやん」


進藤とふたり、幸せそうに笑う水瀬さん


もう寂しい気持ちにさせたくない

今度は俺が、独りになんてさせへん





いろんな意味で一歩手前な白石くんでした( ´∀`)

まあ侑士にも跡部にもそれぞれ思うところがあるんだろうなーと思います((他人事←

なんかしんみり?としてしまいましたが、次回からまともに合宿します!
やっと\(^o^)/ww

あ、まさかの20話達成?
本当にありがとうございますm(_ _)m
 


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