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氷河期に思いを

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『「うわ…」』

ドアを開けると、どこの高級ホテルですかクラスの部屋が広がっていた

『さすが氷帝やな…』

「もう本当にいろいろおかしいよね」

規模がまずおかしい
まあ瑞稀とふたり部屋だからよかったー!


ベッドにばふんと倒れ込む

「ふっかふか…てか疲れた」

『まだ始まったばっかりやのに』

だってしょっぱなから濃すぎでしょうよ


『それにしても…羚奈が忍足と友達っていうんは意外やったわ』

ベッドに寝転んだまま瑞稀が言った

「あー…友達、ていうのかは分かんないけどね」

『私は羚奈が氷帝に居ったときの話は知らんからなぁ』

瑞稀…
たしかに今まで話したことなかったな


「あのね…あんまりいい話でもないんだけど」

記憶をゆっくり手繰り寄せる


「氷帝はね、四天宝寺よりもこう…お嬢様的な子ばっかりでさ、私も趣味がこんなだから全然ついて行けなくてね…」

いつも、ひとりだった


「その割に跡部とかに目つけられてて、あんまよく思われてなかったみたい。そんである日屋上で侑士に出会ったの」

テニス部とは絶対関わりたくなかったんだけど、まさかあの忍足がアニメ雑誌読んでたから、つい


「それで話し掛けられて意気投合して、クラスも同じだったからよく話すようになったんだけど…まあ案の定、呼び出しくらってね。趣味馬鹿にされて、まあいろいろされるようになって…」

そういえばPSPも壊されたことあったな…


「侑士とも話さなくなって、そこからはずっと1人で」

だから

「だから四天宝寺に来て、瑞稀や白石くん達が一緒に居てくれることが、ものすごく温かくて嬉しいんだよ」

そう言うと瑞稀はそっか、と優しく笑って頭を撫でてくれた



『へや、まだ待機やろうからなんか飲んどく?お菓子まで揃ってるし』

「うん!あ、テレビもある。アニメ見ていいかな?」

『いいんちゃう…』

まあ録画はしてきましたけどね!
リアルで観れるなんて最高です


瑞稀とお茶タイムを満喫していると、ノックするのが聞こえた

「はーい」

ガチャ

『お疲れさん。打ち合わせしたいから入らせてもろてもええ?』

「いいよー」

白石くんだ
跡部との話は終わったのか


『はは、めっちゃくつろいどるやん』

『くつろいだもん勝ちやからなー』

そらそうや、と白石くんは腰をおろす

目が合うと、とても優しい微笑みを向けられた

「?どうしたの?」

『いや、何でもないけど…』

変な白石くんだな

でもそれは、普段の王子様スマイルよりも何倍も綺麗で柔らかい微笑みだった


『ほないろいろ説明するでー』

はっ
思わずボーっとしちゃってた

とりあえず仕事覚えないとね

私は彼の言葉に必死で耳を傾けた







シリアス、なのか?
とりあえずヒロイン過去話です

まあ彼女もだいぶあっさり語ってますので、次は白石視点でお話をしようかなと

この辺はそれぞれの"心境の変化"がテーマですね(´・ω・`)


 


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