妄想ラバーズ | ナノ

テスト前の一騒動

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『羚奈先輩』

最近は毎朝、財前くんに会う

「おはよう、財前くん!」

『先輩…顔色悪くないですか?』

財前くんは私の顔を一目見るなり言った
確かにちょっと頭痛いけど…大したことないでしょ

「そう?大丈夫だよー」

『しんどいんやったら無理せんで言って下さいよ』

私の顔を覗き込む彼の目の下にはクマがいつもより目立っていた

「あれ、財前くんは寝不足?」

『昨日結構遅くまで曲作ってたんですわぁ』

1つあくびをして財前くんはipodを取り出した

「え、うそ!新曲!?」

『仕上げはまだですけど、聞いてみます?』
「聴くー!」

イヤホンから流れたのはバラード系の綺麗な曲だった

「珍しいね!ぜんざいPはアップテンポな曲が多いのに」

『ちょっと趣向変えてみたんですわ。どうですか?』

「すごくいいと思う!うpしたらすぐメールしてね!!」

ええですよ、と微笑んで彼は前を指差した

「あ、白石くんと忍足くん」


『羚奈先輩…俺前から思ってたんすけど、謙也さんってええ声ですよね』

確かにそうだ
明るくてよく通る声だよね

『…歌い手やればええのに』

ぼそっと呟かれた財前くんの言葉に噴き出しながら思った

「いいと思う…!」


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一学期も、もうすぐ終わる

って…そういえばテストも近いんだった

四天宝寺のテストなんて編入試験以来だけど…難しいのかな
小春ちゃんがものすごく頭良いんだっけ
IQ200って…漫画か

授業中そんなことをぼんやり考えていると、頭がぼーっとしてきた

なんか気分悪いかも…

『次の問いを…水瀬いこか』

先生に当てられて立ち上がると、身体がフラついた
やばい…

バランスがとれずに倒れると思いっきり床に頭をぶつけた

『水瀬さん!?』

『えっ、ちょ…!』

白石くんと忍足くんの声が聞こえる

そのまま私は意識を手放した

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「ん…」

身体が揺れている

ん?ていうか浮いてる?

次第にはっきりする意識と共にそっと目を開けると…

「え、白石くん!?」

目の前には見慣れた綺麗な顔
ちょ、何で白石くんに運ばれてるの!?
たちまちパニックになる私

『ちょおっ、水瀬さん暴れたらあかんて!』

さらに腕に力がこめられる
これは…あれですよね、いわゆるお姫様だっこという

『ほら、保健室着いたで…先生おらんみたいやけど』

そういって彼は奥のベッドに私をそっと降ろした

「あ、そか…白石くん保健委員だっけ」

『おん、しかし急に倒れるからびっくりしたわ…朝から気分悪かったん?』

「うん…多分」

多分て、と苦笑しながら白石くんは静かに布団をかけてくれた

『ごめんな…すぐ気づいたれんくて』

「ううん!私こそごめんね、テスト前なのに付き合わせて」

白石くんは小さなイスを引っ張ってきてベッドの側に腰掛けた

『ええよ』

しばらく一緒にいてくれるのかな…

「ありがとう…」

白石くんは黙ったままにっこり笑った

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『あ、せや。テスト終わったら俺と出かけへん?水瀬さんさえ良ければやけど』

「え、もちろんいいよ!!新刊いっぱい出るしねー」

大体そういうの1人で行くから、同志の人と行くの初めてだな

『ほんまに?楽しみにしてるわ…っと』

白石くんが私のおでこに手を当てた

『熱上がってきたな…長居してもうて堪忍な。じゃあ…おとなしく寝とくんやで』

「うん…」

優しく頭を撫でる白石くんの手の温もりを感じつつ、私は目を閉じた





一度はやってみたかった保健室ネタ\(^o^)/

しばらく白石のターンが続きます
ていうか白石夢でしたね、分かってますよ!←

 


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