妄想ラバーズ | ナノ
ときめきと卵焼き
『なあ…水瀬さん』
「ん?なに?」
『俺、厨二病ちゃうからな!あれは金ちゃんをコントロールするための手段やねん』
真面目な顔で何言い出すかと思ったら…
「ぷっ…それ気にしてたんだ。大丈夫、分かってるよ!でも、部長さんも大変だねえ」
ほんと、あのメンバーを纏めるなんてなかなか難しいと思う
濃すぎだもんよ
『堪忍な、あいつらめっちゃ賑やかやったやろ?…でも、あれが俺らのチームやねん』
そう言って優しく笑う白石くん
たくさん苦労してきて、それでも心から部を愛してる、そんな笑顔だった
「分かってるよ。今までの努力があって、一人一人に個性があるからこそ、あんなにみんな輝いてるんでしょ?」
まぶしかった
あんな賑やかなのは初めてだったから
見た目しか見てない人もいるかもしれないけど、みんな仲間を思いやる優しい人ばかりだった
…といっても、私も少ししか話してないけどね
『…さすが水瀬さんや、よう見とる』
そう言って白石くんは私の頭をポンポンと軽く叩いた
その仕草にちょっとときめいたりしたのは内緒にしておこう
でもそんな私たちは、周りがどんな視線を送っているかに気がついていなかった
------------------
今日の昼休みは白石くんも忍足くんもいなくて、瑞稀と2人教室で食べていた
『羚奈、結構慣れてきたみたいやな』
「うん!でも初めてのことだらけでびっくりしてるよ」
そう言うと瑞稀は優しく微笑んだ
『そっか…あ、オサムちゃんに呼ばれてるん忘れとった』
ちょっと行ってくるわ、と瑞稀は教室を出て行った
1人で卵焼きを口に押し込む
前の学校ならこれが普通だったのに…
改めてこの学校の日々を思い返すとなんかくすぐったかった
『水瀬さん、おる?』
突然の声に入り口の方を振り返ると、見知らぬ女の子たちが4、5人立っていた
「は、い?」
『ああ、悪いんやけどちょっと来てくれる?』
明らかに温和な雰囲気ではない彼女たちに連れられてきたのは、屋上だった
次はちょっとシリアスになる予定です
というかこの長編の方向性がすでに謎(笑)