短編 | ナノ


君のが…



「誕生日おめでとう、ブン太!!」

「サンキュー」

今日はブン太の誕生日
私は屋上で一緒にお昼を食べることになっていた

「はい、これプレゼント」

綺麗にラッピングされた袋をブン太に差し出す
中にはペンダントが入っている
友達に何度も付き合ってもらって
悩みに悩んで選んだものだ

「お、かっけーじゃん。ありがとな」

気に入ってもらえたみたいでほっと胸をなで下ろす

「それからね…」

「んじゃお礼」

ちょうど開けた口に何か放り込まれた
クッキー?

「クラスのやつからもらった。うめぇだろぃ?」

「うん…」

ブン太は満足そうに笑ってお弁当を食べ始めた
私はちらっと自分のお弁当の隣にある紙袋を見る

(やっぱ私のなんかより全然美味しいよね)

私もブン太の誕生日ということでクッキーを作った
私は料理がびっくりするくらい苦手だから
1ヶ月前から毎日練習して
昨日やっとの思いで焼き上がったクッキーは
お世辞にも美味しいと言えるものではなかったけど
それでもブン太のために作ったものだし持ってきてみたんだけど…

(…やっぱり止めとこうかな)

「那美?どうしたんだよぃ」

なかなかお弁当を食べ始めない私の顔をブン太が覗き込んできた

「うわっ、…何でもないよ」

「そーか?那美も弁当食えよぃ」

ブン太が私のお弁当に手を伸ばす
…私のお弁当に?
やば!!

「…お前何で紙袋持ってんの?」

隣に置かれた紙袋を不思議そうに見るブン太

「あー、それは…って、勝手に見ないでよ!!」

私が答える前にブン太は勝手に袋の中を見た
中には当然、私の作ったクッキー

「これ…」

私はブン太の手からクッキーを奪った

「何すんだよ!!俺のだろぃ!?」

「そ、そうだけど駄目!!」

「はぁ!?」

わけが分からないという顔のブン太

「…だって、美味しいないんだもん」

ブン太ははぁー、と大きな溜め息をついた
それから私の手にあるクッキーの袋から一枚取り出す

「ちょっ…」

「バーカ。うまいとかうまくないとかじゃなくて、俺は那美のが食いてぇの」

そう言ってクッキーを口に入れるブン太
バキッとクッキーにあるまじき音がする
絶対美味しくない
けどブン太はそのクッキーを全部食べた


(美味しい?)
(不味い、つか固い)
(ひどい)
(だから来年の誕生日はもっとうめぇの期待してるぜぃ)
(来年…)
(おう、来年も再来年もずっと一緒だろぃ?)





ブンちゃん誕生日おめでとう!!
彼らは来年も再来年もずっと中学生ですねwww
どんどん年が離れていくのが少し寂しい(´_`)
これからもかっこよくて、仁王にいじめられるブンちゃんでいてくださいね←

では読んでいただきありがとうございました

荊姫



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