短編 | ナノ


甘いのは


「なんか那美いい匂いしねぇ?」

くんくんと鼻を近づけてくるブン太
びっくりしてちょっと顔を引いてしまう

「おまっ…避けんなよぃ」

「だってびっくりしたんだもん」

「悪ぃ悪ぃ。けど本当いい匂いすんだよ。なんかつけてんのか?」

「何もつけてないけど…」

「けどめっちゃ甘い匂いしてんぞ」

私は香水とかあまり好きじゃないからつけていない
シャンプーも甘いっていうより爽やかな感じの香りだし…
あ、

「リップクリームかも」

ポケットから昨日買ったばかりのリップクリームを出す
いつもは無香料のものを買っているが
昨日はいつものがなく、安かったので
いちごの香りのものを買ったのだ
ブン太に渡すとキャップを開けて香りをかいでいる

「あ、これこれ。超美味そうな匂いしてる」

「ちょっと、食べ物じゃないからね?」

「わーってるっつーの」

いや、ブン太ならやりかねない
だってブン太だもん

「…何?」

なんかブン太がじっと私を見てる

「那美」

名前を呼ぶと同時にブン太の顔が近づいてきて
思わず目を閉じると
唇に柔らかいものが触れた

「やっぱ甘ぇな」

「〜っ」

甘いのはリップクリームじゃなくて
ブン太とのキスだと思う

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