短編 | ナノ


レイトショー


映画を見るのが好き
だからよく映画館に見に行くんだけど
1回見るのにもお金がかかる
正直学生には辛い
だから私は考えた

「今日レイトショー見に行こうと思うんだ」

「は?」

突然何を言い出すんだという顔をしている私の彼氏、雅治

「前に雅治レイトショー見に行ったって言ってたでしょ?それで調べてみたらそっちの方が安いし!!
それに今日はホラーを見に行こうと思って」

「ホラー?」

「うん!!この前から始まったやつ。どうせ見るなら夜の方が雰囲気あると思わない?」

「駄目じゃ」

私が胸を踊らせて今日の予定を語れば
雅治に少し呆れた顔で一蹴された

「何で!?」

「俺はいいが那美には行かせられん。だいたい那美は怖いの苦手じゃろ?」

「う…」

確かに以前友達から借りた怖い話の本を読んで
あまりの怖さに眠れなくなった私は雅治に電話をして
私が寝れるまで話してもらったことがある

「…けど見たい」

そう、怖い話というのは怖いからおもしろい
私は怖がりだからこそ、ホラーが好きだ

「駄目じゃ」

なのに雅治は駄目の一点張り

「いいじゃん!!っていうか何で雅治はいいのに私は駄目なの!?」

差別だと思う

「当たり前じゃろ」

当たり前って何!?
っていうか考えたら趣味で映画を見に行くのに何で許可がいるんだろ
いらないよね?
うん、いらない

「とにかく私は見に行くから!!」

-----------------------

夜になって宣言通りレイトショーを見に行った
見た映画も宣言通りホラー
レイトショーだからか人も少な目で
それがまた雰囲気が出ていた
映画の内容もすごい怖かった
うん、すごい怖かった

「…どうしよう」

もう一度言う、すごい怖かった
そう、怖くて一人で帰れないくらいに、すごい怖かった
とりあえず映画館からは出た
けどどうしても真っ暗な道へ足が進まない

「那美」

ポンと私の肩を誰かが叩いた

「ギャーッ」

いきなり肩を叩かれた怖さで私は叫びうずくまった

「クククッ」

「え?」

聞き慣れた笑い声

「まさは…る?」

「なんちゅー声出しとんじゃ。迎えに来たぜよ」

「うう…」

私は雅治に抱きついた
安心感からちょっとだけ涙が出てくる
雅治は優しく頭を撫でてくれた

「だから駄目じゃって言うたじゃろ?」

「ごめんなさい…次はホラー以外にする」

「それもいかん」

「何で?」

「女の子一人じゃ危ないじゃろ」

ぴしっとおでこにデコピンをくらわされる
なるほど、だから駄目だって言ってたのか

「でもこっちのが安いし…」

「はぁー」

盛大なため息をつかれる
だって学生には値段って大事なんだから!!

「どうしても見たいときは言いんしゃい。一緒に来ちゃるから」

しばらくはレイトショーで映画は見よう、とひそかに心に決めた

back

<
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -