短編 | ナノ


俺の胸で泣けば?


3年になり丸井と初めて同じクラスになった
それから丸井と小中合わせて7年間同じクラスという女、古西那美
丸井に聞いたら腐れ縁らしいが…

「おい那美!!」

「何ー?」

ぶっちゃけ俺にはただの腐れ縁には見えん
丸井があんなに女子と話すんも珍しいし
古西自体もあんまり男子と話さん
今も俺の後ろで仲良く喋っとる
完全に両想い…ってやつに見えるんじゃが
お互い自分の気持ちに気づいとらん

「難しいのぅ」

「?なんだよ仁王」

「なんでもなか」

丸井は不思議そうな顔してからまた古西と喋り出した
…いい加減いらいらしてきたぜよ

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放課後、部活のため丸井と部室で着替える
他の奴らはまだ来とらん

「お前さんと古西ほんま仲良えのぅ」

「そーか?まぁ、腐れ縁だしな」

「ほんまにそれだけか?」

「どういう意味だよ?」

こいつ、まだわからんか…

「俺には腐れ縁だけには見えんぜよ」

「はぁ?何だって言うんだよぃ」

「自分の胸に手当ててよーく考えてみんしゃい。…おぉ柳生、来たんか」

タイミングが良いんか悪いんか
入り口には柳生が立っていた
この話は終わりじゃな

「えぇ、たった今。お二人共今日は早いですね。何か話してたようですが、お邪魔でしたか?」

「ボーイズトークじゃよ。んじゃ俺は先コート行っとくナリ。丸井もまぁ、よう考えんしゃい」

「おい、仁王!!」

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あれから2週間経ったが2人に進展した様子は全くない
相変わらず普通に喋っとる

「まじかよ!?お前今日古西さんに告白すんの!?」

2人の会話をBGMに机に突っ伏して寝よったら
別の方からそんな会話が聞こえてきた

「声がでけぇから!!一応今日の放課後に屋上に呼び出した」

「お前去年からずっと好きだったもんなー」

どうやら古西は男子とあまり話さないながらも
人気じゃったらしい
丸井も早よ気づきんしゃい

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放課後俺と仁王は部室で着替えてる
2週間くらい前、仁王が俺に那美との関係を聞いてきた
俺は腐れ縁だって答えたけど仁王はそう見えないらしい
胸に手を当てて考えろっつったってそれ以外にわかんねぇ
俺があいつを好きだとでも言うのかよぃ
あいつと初めて同じクラスになったときから感じる気持ちはずっと変わんねえんだから
そんなわけねぇだろぃ

「今日クラスの奴が話しとったが、古西告られるらしいのぅ」

「は?」

「今頃屋上に呼び出されてるんじゃなか?」

仁王の言葉を聞いた途端、なんか胸がもやもやした
なんつーか、不快感…?

「ええんか?」

やけに仁王がつっかかってくる
さっきから感じるもやもやも合わさっていらいらしてきた

「何がだよ」

「まだ気づいとらんのか」

呆れたようにため息をつく仁王

「だから何がだって!!はっきり言えよ!!」

いらいらが最高潮に達して俺は思わず怒鳴っちまった

「何いらいらしとるん」

「お前がつっかかってくっからだろぃ!!」

「違うの」

「は?」

また仁王はため息をつく

「俺から言うつもりはなかったんじゃが…お前さんがいらいらしとんのは古西が自分以外の奴に告られるからじゃろ」

「…何、言ってんだよぃ?」

「お前さんの気持ちじゃけど?」

「何で俺があいつのこと…そりゃあいつはずっと一緒で話すのも一番楽しいし、離れたくねぇとか思うけど、それは全部腐れ縁で一緒にいるのが当たり前みたいだからで…」

「そうか。けど俺にはその言葉全部…」

古西が好きって言ってるようにしか聞こえんのじゃけど

「…!」

「どうじゃ?」

俺は部室から飛び出した

「あれ、丸井?」

途中幸村君にぶつかったけど気にしなかった
正直まだ俺の気持ちはよくわかんなねぇ
だからこそ俺は屋上に向かった

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バンッ

屋上のドアを勢いよく開ける
ドアの近くの壁に那美が寄りかかって座っていた

「あれ、ブン太じゃん。部活は?」

「あー、お前こそ何でこんなとこいんだよ」

理由なんて言えるはずもねぇ
俺は那美の隣に座る

「んー、告白された?」

知ってる

「へぇ。付き合うのか?」

「ううん」

那美の言葉に少し安心する俺がいる

「何でだよぃ。彼氏欲しいって言ってたじゃねぇか」

「あたしのこと真剣に好きって言ってくれる人に軽い気持ちで付き合えないなーって」

「…んだよ、好きなやついんのかよぃ」

「うん。告白されて気付いた」

「そうかよ」

俺も気付いた
好きなやつがいると言われたことに
自分がショックを受けていたから

「…あたしね」

俺は

「ブン太が好きなんだと思う。多分初めて会ったときから、ずっと」

初めて会ったときから、ずっと

「俺も那美が好きだ」

那美の目からぼろぼろと涙がこぼれだした

「何泣いてんだよぃ」

「わかんな…っ、けど、止まんなくて…っ」

泣きじゃくる那美に俺は腕を広げる

「ほら、俺の胸で泣けば?」

「…濡れるよ?」

「いーよ。濡れた分、お前からの愛だと思うからよ」

「うわ…くさー」

「うっせ−」

泣きながら少し笑う那美を俺は思い切り抱きしめた


泣き終わった後のユニフォームは
遠くから見てもわかるくらいに濡れていた


title by 確かに恋だった

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