短編 | ナノ


卒業


卒業式が終わって私は一人教室で彼を待つ
今頃女の子に囲まれているであろう彼を

「那美」

ガラッとドアが開く

「すまん、待ったか?」

私が待っていた彼、雅治がドアから入ってきた
ブレザーのボタンは全部なくなってる

「ちょっとだけ。女の子に追われたの?」

ボタンのなくなったブレザーを指差す

「まぁの」

「ふーん」

「なんじゃ?やきもちか?」

「別に…」

図星なのが悔しくて素っ気ない返事を返す
雅治は私の頭をポンポンと撫でてすまん、ともう一度謝った
図星だってバレてる

「みんな必死だね」

「俺は工業高校行くからのう」

立海には2つの高校がある
立海大付属高校と工業高校
雅治は工業高校に行くから多くの女の子が雅治と離れることになる
大体の女の子は立海大付属高校に行く
私もその一人

「…ボタン」

「ん?」

「私も欲しかった」

「第二ボタンか?」

「第二ボタンっていうのは学ランだったら一番心臓に近いからでブレザーだと違うんだよ」

「そうなんか」

「まぁもう全部なくなってるから関係ないけど」

そう言ってちょっと拗ねたように雅治のブレザーから目を逸らす
そしたら雅治が抱きついてきた

「可愛いのう、那美ちゃん」

私の頭の上でくくっと雅治が笑ってる

「私だって離れるのに」

「離さんよ」

抱きしめる腕の力が強まる

「ボタンはもうあげれんけど那美には俺自身をやるけぇ」

ちゅっと雅治は私に口付けた

「それじゃいかん?」

雅治はにっこりと笑ってる

「〜っ」

恥ずかしさで何も答えないでいると雅治は満足そうにまた抱きしめた

「那美はくれんの?」

「…ばか」

今度は私から雅治にキスをした


(私はもうとっくに雅治のものなんだから)


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