短編 | ナノ


理由


「けーんや!!」

「ん?」

「とぉっ!!」

ビシャァッ

名前を呼ばれた思て振り返ったら突然俺の顔に水がかかった

「…」

「あははっ、謙也びしょびしょ!!」

俺を指差して笑うのは那美
去年同じクラスで今は違うけどまぁ仲ええと思う
で、俺がこんなんなった原因やけど那美の手には水鉄砲
しかもめっちゃ本格的なやつやねんけど

「那美…」

「どないしたん?」

「お前毎日毎日ええ加減にせえよ!!」

「あははっ、謙也が怒った−」

一目散に那美は廊下を走って逃げていく
これも毎日のこと

「浪速のスピードスターの方が速いっちゅー話や!!」

那美は特に運動部とかいうわけやないからすぐに追いつく

「捕まっちゃった−」

「当たり前やろ!!」

「けど謙也汗びしょびしょやん?」

「お前のかけた水や!!」

「あ、そっか−」

ぴゅーと水鉄砲から水を発射する
廊下濡れるやん
後でちゃんと掃除しろよ…多分やらされるんは俺やな…

「お前ほんま何で毎日毎日こんなんしてくんねん」

「だってこうでもせんと謙也と毎日会えへんやん」

当たり前というように那美はすぐに答えた

「3年になってクラスも変わったし…」

そういえばこいつがこんなんしだしたのは今年の4月入ってからやったな

「…お前俺に会うためだけにこんなんしとったんか?」

「そうやで?」

他に何があるん?とさも不思議そうな顔をする

「…何で俺に会いたいん?」

多分俺の顔真っ赤や

「え?好きやからに決まっとるやん」

「…まじか」

「うん」

ちょ、待てや
何こいつこんな流れで告ってるん
え、おかしない?

「っていうか謙也知らんかったん?何かみんなあたしが謙也好きって知ってたから知ってると思っとった」

「知るわけないやろ!!」

何なんやこいつ!!
思考がおかしいねんけど!!
っていうかみんな知っとったんかい!!
やから白石朝俺が那美にいろいろされてるとき
にやにやしとったんか!!

「えー、そうやったんや。まぁそういうことやから明日もやるな!!」

那美にっこりって自分の教室へ向かおうとする
俺はその那美の手を掴んで止めた

「別にこんでええわ」

「それやったら謙也に会えんやん」

「…やから、会いたいときに会いにきたらええっちゅー話や!!それに俺も会いに行ったるから!!」

それだけ言ったらバッと那美の手を離して
廊下をかけていった
あかん、めっちゃハズいんやけど
俺スピードスターでよかったわ

…とりあえず、次の休み時間にでも会いに行ったろう

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