「あ、大きいのできた」
「ほんまじゃ」
私の口元から作られた大きなシャボン玉がふわふわと空へ飛んでいく
「久々にやると楽しいね、これ」
「じゃろ?」
今日の朝彼氏である雅治がわざわざ私の教室に来て
サボろうと誘ってきた
1時間目は社会だったから後で教科書でも見ればいいやと私は雅治について行った
私はこれでも真面目なつもりなので渋っていたけど
雅治に引きずられ屋上に行った
で、今に至る
「ところで何でいきなりシャボン玉?」
「昨日近所で出店が出とっての。射的があったからやってみたら当たったんじゃ」
「へー。さすが」
雅治は射的とかゲームセンターのシューティングゲームとかが上手い
しかも銃を構える姿が様になってたりする
「けど出店とかいいね。小さい頃はよく行ったけど最近あんま見ないや」
「まだ今日もやっとるんじゃなか?一緒に行くか?」
「うん、行きたい」
「なら部活終わるん待っとって」
「はいはーい」
帰りの約束を取り付けると私はまたシャボン玉を作る
雅治にも言ったけど楽しい
たまには童心に帰って遊ぶのも悪くないな
昔に戻ったみたいに夢中でシャボン玉を作る
「那美、こっち来んしゃい」
「うん?」
雅治は壁にもたれて座ってたから私も隣に座る
すると雅治が抱きついてきた
「どうしたの?」
「ん−?シャボン玉に夢中な那美が可愛いと思っただけぜよ」
そう言って雅治は私に優しく唇を落とした
浮かんでいるシャボン玉には赤くなった私と私を愛おしそうに見る雅治が映っていた
(小さな幸せっていうのは、こういうことなのかな…なんて)
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