番外編 | ナノ

神の子と喧嘩。



「…精市のバカっ、もう知らない!!」

「あぁそう勝手にすれば?俺も名前なんかもう知らないよ」

もう一度バカと叫んで俺の教室から出ていく名前
ちなみに今は昼休み
大きな声で叫び合う俺達は注目の的だった
みんな戸惑った目で残された俺を見ている
喧嘩の理由は何てことない
来週の日曜俺と名前が買い物に行く約束を俺が忘れて練習試合を入れてしまったからだ
別に他の日にすればいいだろと言えば
その日じゃないとだめなのだと言う
そこからは討論になって冒頭へ、というわけだ

「お前たちが喧嘩とは珍しいな」

俺に部活の資料を持ってきた蓮二がノートに何か書いている

「幼なじみ離れのできない幼なじみで困るよ」

「で、どうするんだ中止にするのか?」

「そんな訳ないだろ。せっかくの練習試合なんだから」

「そうか」

今回はうちほどではないとはいえ、なかなかの強豪
レギュラーの相手にはならないかもしれないが1年達のいい経験にはなるだろう
だからこそ中止するわけにはいかない
名前も俺の幼なじみならそうところをわかって欲しい…って俺はあいつの彼氏か

(…なんて有り得ないけど)

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部活が終わって家への帰り道をいらいらしながら歩く
部活前に一度名前のクラスまで行ってみたけれど無視された
一応悪かったかなと思って謝りにいこうかと思ったのにこの態度
…気に入らない
子供だって?
王者といえど中学生、それくらいの感情は抱く

あまりにいらいらしながら歩いていたからか気づけばもう家の前
いつもより早く着いた気分だ
そしていつもと違うものがもう一つ
玄関の前に小さく縮こまった影があった

「何の用だい?」

影、いや名前の目の前に立って見下ろしながら聞く
名前はちらっと俺を見てから視線をそらして小さくつぶやいた

「…ごめん」

「何?聞こえない」

「…ごめんってば!!」

そらされていた視線が上を向く
俺の視線とばっちり合った

「精市が部活一生懸命なのわかってるのに、わがまま言った」

「…何でそんなに日曜にごたわったんだい?」

「デパートの絵画展、その日までだったんだもん。精市の好きな人のやつ」

「…は?」

「部活とか大変だろうからいい気分転換になるかなって…」

「そのため?」

こくん、と頷く
思わず大きくため息をついてしまう

「…俺も、ごめん」

素直に謝る

「練習試合、3時までだからその後行かないか?」

「疲れてない?」

「平気だよ」

そう言えば嬉しそうに笑う名前
その笑顔にさっきまでのいらいらは消えていく

(…幼なじみ離れできないのはどっちだか)

恋愛感情なんか抱かない
ただただ大切な存在だから、

(泣かせたりしたら許さないよ、仁王?)



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メロウが久々で主人公のキャラが掴めない(´_ゝ`)
こんな話を書いておきながら幸村様落ちじゃないという…
本編で幼なじみ感を出せないので書きたかったんです

ありがとうございました

荊姫



 


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