番外編 | ナノ

真夜中のボーイズトーク

※合宿最終日の夜


ベッドに寝そべったままふと時計を見上げると、丁度22時になるところだった

しかし同室の千歳が帰ってこない

(どこほっつき歩いてんのやろ…)


静まり返った部屋の空気に身を委ねていると、先ほどの肝試しの記憶が蘇ってくる



《これはまた…なかなか鈍感なお姫様とね?》


(千歳のアホ…そんなん分かっとるわ)

確かに名前は鈍感だ、それはもうかなりの度合いで

自分でもたまに驚くくらいアプローチしてるはずなのに、彼女は全く気づかない


(あ、でも…さっきは)

自分のシャツを握りしめて不安そうな顔をしている名前の可愛らしい様子を思い浮かべると、自然に笑みが浮かぶ


コンコン


「千歳?」

自分の部屋なのだから、わざわざノックなんてしなくてもいいのに

そう思いつつドアを開ける

『白石…』

「謙也…どしたん?」

『あー…その…』


意外な訪問者にも驚いたが、しかもいつになく歯切れの悪い様子で


『なあ、ちょっと…話さへん?』

「え……おん、ええけど…」


面食らいながら謙也を部屋へと招き入れる


(話って…まあ腐男子的にはwktkな展開なんやろうけど…って、なんせ謙也やしな)


たちまち膨らみかけた妄想を慌ててパタンと閉じ、謙也と向き合う形でベッドに座った


「それで…どしたん?」

『いや、ちょっと相談?やねんけど…』

「相談?」

謙也はうつむき加減でぽつりと言葉をこぼした



『…瑞稀って、俺んことどう思ってるんやろ』

「……なるほど」

どうりで歯切れが悪いわけである



『…一年のときから同じ部活で、毎日顔会わせてきて…あいつ他の部マネージャーに比べたら愛想悪いやん?
でも…ほんまはめっちゃ俺らのこと考えてくれてて…優しいし、あとたまに見せる笑顔がその…』


「ま、つまりいつのまにか好きになってたっちゅー…」


こくんと頷いた謙也の顔は驚くほど真っ赤に染まっていた


『だあああああ!なんやこれ!めっちゃ恥ずい!!!』

「いや…自分から暴露しにきたんやろ」

初めて見る親友の一面に思わず苦笑する



『でも瑞稀が俺のことどう思ってるんか分からへんし…つか俺はどうしたらええんやろって』



(“俺のことどう思ってるんか“か…)


「俺も…一緒やわ」

『へ?』


「せやから、どう思われとんやろって話」

『え?ああ…苗字さん、が?』


なんか謙也にこんな話をするのは初めてだからか、恥ずかしさがこみ上げてきた俺はただ頷いた



『…好きなんやろ?』

「おん、めっちゃな」


『ああ…確かにめっちゃ鈍感ぽいよな』

「鈍感な謙也に言われるくらいやからよっぽどやな」



俺は、謙也たちみたいに長い付き合いでもないけど


「いやー…何ちゅーか、いつのまにか好きになる、ってほんまにあるんやな…」


『ほんまな……なあ、白石は気持ち伝えるん?』


「もちろん。でも、今は…まだその時やない気がすんねん」


(なんて、ほんまは傷つくんが怖いだけなんかもしらんけど)


でも、今はもう少し

ここにある名前との穏やかな時間を大切にしたい
もう少しだけ、気づかれないままで



「謙也は?…多分瑞稀も言葉にせな分からんタイプやと思うけど」

『せやんなあ……うあああどうすればええねんんんん』

そう言いながらベッドに顔をうずめる謙也


(ヘタレで乙女って…)


「ま、お互いなかなか鈍感なお姫様で大変やけど…頑張ろな」


『お前…よぉそんなクサいことさらっと言えるよな』


「ちゃう!言い出したんは千歳や!……って、そういや千歳知らん?」

すっかり忘れていた


『千歳?あいつやったら俺らの部屋にオサムちゃんと金ちゃんと押し掛けて来よったで』

「何やそれ…財前は?」

『うるさい言うて銀の部屋に避難しとる』

「うわあ…めっちゃ目に浮かぶわ。まさか酒盛りとかしとんちゃうやろな」

『…否定はできんな』


いつものように笑いながら時計を見上げると、0時をすっかり回っていた

「うわ、もうこんな時間やん!明日も早いし、もう寝なあかん」

『なあなあ、千歳帰って来おへんしここで寝てもええ?』

「ええよ。さ、寝よか」


思わぬ訪問者のおかげで、知らず知らずのうちに気持ちの整理がついたのか、少し胸が軽くなっていた



(おはよー!あれ、蔵ノ介くん何か眠そうだね?)
(ああ、謙也とちょっと遅くまで話しとって)
(え!?もしや…)
(いやいやいや、そういう展開ちゃうから!)

((白石…苦労すんなぁ))


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はい、初の番外編ということで!
男ばっかですねwwムサくてすみませんww

3ー2大好きです!!なんかこの二人ならこういう話してそう(*´`*)

…ひどい妄想で申し訳ない

うちの鈍感ヒロインたち相手になかなか大変な男子陣ですが、本編の方でもガンガン頑張って欲しいです!

ぐだぐだ話ですみません…お読み下さりありがとうございました!!

美月

 


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