10000hit*一言にときめく | ナノ
バーカ
「え、那美って丸井くんに好きって言われたことないの?」
信じられないと目を丸くする友人の顔
「うん?まぁ、はっきり好きとは言われてないかな」
「告白のときは?」
「えー」
告白してきたときのブン太は真っ赤な顔を私から逸らして
『付き合ってくんねぇ?』
の一言
別に好き、とは言われてない
「信じらんない!言って欲しいとか思わないの?」
「んー別に?」
ブン太は意地っ張りっていうか照れ屋というか…とりあえずそういうこと言うの苦手だろうしなぁ
「別にって…私なんか毎日彼氏に言われるのに」
はい、のろけ入りましたー
長くなることを知っているので適当に受け流しながら話を聞く
「那美はなんか言われたりしないの?」
「えー、バカとか?」
「何それ」
「ブン太口悪いもん」
「まぁよくはないだろうけど…でもさぁ」
彼氏に言われる言葉がバカって…と苦笑される
「いいの、別に。それに…」
「那美ー帰ろーぜぃ」
教室の扉には鞄を背負ったブン太がいた
今日は珍しく部活が休みらしくて一緒に帰ろうって約束していた
「はーい。じゃあね」
荷物をまとめてブン太のところへ行く
友達に手を振るとまだ信じられないって顔をしてブン太の方を見ながら振り返してくれた
------------------------
久しぶりに一緒の帰り道
最近クラスであったこととかブン太の部活の話とか、そんなたわいもない話をしながら帰る
「そういやさっき何話してたんだ?」
「え?あー、」
どうしよう
言ってもいいんだけど、ブン太はどういう反応するかな
なんかショックとか受けられたら面倒くさいしな…
「…ブン太は私のこと好き?」
別に好きって言って欲しいわけでも期待してるわけでもないけど言ってみた
「はぁっ!?」
「だから、私のこと好き?って」
ブン太の顔はみるみる赤くなって、私を見ていた目は逸らされる
…あのときと同じだ
「〜っ、知るか、バーカ!!」
あぁほらやっぱり言わない
ブン太の顔は耳まで真っ赤で、
(告白のとき以上?)
「はいはい、私は知ってるからいいよ」
その言葉はきっとブン太なりの最大級の愛の言葉だから
back