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わがそでは

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私の好きな人、忍足謙也の周りにはいつも人が集まっている
男子だけならまだしも、女子もたくさん


「おはよ、謙也」

『おお那美!おはようさん!』

毎朝毎朝、この眩しすぎるくらいの笑顔を向けてくれるけど

『おはよー謙也くん!』
『今日も何や楽しそうやなぁ』

『おう!』

決して、私だけのものではない


どれほど私が好きになったとしても、謙也にとっては“女友達の1人“にすぎない


『あ、せや。那美ー』

はぁ、とため息をこぼしていると不意に謙也に話しかけられた

慌てて笑顔を浮かべて取り繕う

「ん?」

『昨日発売やったCD買った?』

「あーうん。また貸したろか?」

『ほんま!?よっしゃ、那美大好きやで!!』

「ハイハイ」


“大好き“か…

謙也のその言葉が、今まで何度私の胸を抉ってきたことやら


でも私は、たくさんの友達のうちの1人なんて嫌だ

その笑顔を見れるならそれでいい、なんて可愛らしいことは思えない


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ほんと、どうしてよりによってアイツを好きになっちゃったのかな

想いを抑えつければ抑えつけるほど、胸の痛みは増してく一方で


「ほんま、どうしたらええんやろ…」


廊下を歩きながら呟いていると、不意に肩を叩かれた

『古西』

「白石くん…」

『また、謙也のことか?』

彼はもとから面識があって、何より謙也の親友ってことで何度か相談に乗ってもらっている

こくんと頷くと、白石くんはいつもの苦笑を浮かべた

『そっか…ほんま、アイツもなぁ…』

「どうしたら、気づいてもらえるんかなぁ」

なんて、今の関係が壊れるのも怖いくせにね


すると白石くんはせや、と呟いて、何か思いついたかのように微笑んだ

『あんな、来週の日曜日ウチの部休みやねん』

来週の、日曜日…

「さ、誘ってみようかな」

『おお、頑張れ』

白石くんの笑顔に背中を押されて、私は謙也の元へ向かった

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「謙也!!」

幸い、珍しいことに謙也は1人だった

「あのな、来週の日曜日、やねんけど…私どっか出かけへん?」

高鳴る鼓動をのみこんで、言葉を絞り出した


『えー、いいなぁ。ウチらも一緒でええ?』

突然同じクラスの女子が数人やってきた

途端に胸がざわめく

謙也…


『おお、もちろんええで!なぁ那美!』

「――……ッ」

頭が真っ白になって、知らぬままに私は謙也たちに背を向けて走り出していた

『古西ッ!!』

白石くんが叫ぶ声が聞こえる

ああ、でも、止まらないんだ


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「はぁっ…はぁっ…」

行き着いた先は屋上

疲れた足を引きずって壁にもたれると、ふっと身体の力が抜けた

「…っ」

次から次へと溢れてくる涙に、袖がどんどん染まっていく

ガチャ

『古西…』

気配に顔を上げると、白石くんが立っていた

「はは…私…」

頭の中に謙也の笑顔を思い浮かべでも、涙で滲んでいく


頭に優しく手が乗せられた

「白石くん…」

ここまで追いかけてきてくれるなんて、本当に彼は優しい人だ

本当に、どうして私は…

「私…白石くんを好きになっとけばよかったのになぁ…」

『…アホ、何言うてんねん』

そして彼は、そっと私を抱きしめた

どこまでも優しい、"好きな人の親友"


でも、

ただの友達以上にはなれなくても

この想いが伝わることがないとしても

――それでもまだ、私は謙也が好きなんだ



わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし

(私の涙も想いも、あなたは決して気づかない)




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何でしょうこの最低な謙也くんはww
なんか謙也夢やら白石夢やら分からない感じになってしまいました…
きっと私の白石への愛がry((
なんか続き書きたくなる終わり方ですねwww


大変遅くなってしまいましたが、これで企画は終了となります!
読んで下さってありがとうございましたm(_ _)m


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