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ありまやま


那美が引っ越す
そう聞いたとき俺の中に浮かんだんは寂しさでも悲しみでもなくただ"焦り"
気持ちを伝えなくてはという"焦り"
幼なじみでずっと一緒におった那美のことを恋愛対象として見とったことを俺はその時初めて気づいた
そのことに気づくやいなや、俺は那美に気持ちを伝えた

「好いとう、那美」

「わ、私も…!!」

「引っ越しても手紙とか書くけぇ」

「うん。待ってるね」

そう幼いながら強く約束したんは小4の秋のことじゃった

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あれから5年中学に入って部活を始めてからは忙しくて段々手紙の数も減り
今では全く送っていない

めずらしく今日は部活が休みでたまには部屋を掃除しろと怒られた
仕方なく掃除をしていたら見つかったいまや懐かしくなってしまった那美の手紙
最後に送ったのは2年前
まだ那美は覚えてくれとるじゃろうか
まだ俺のことを好きでいてくれとるじゃろうか

俺は、まだ那美を好きなんじゃろうか

(久々に送ってみるか)

机に座ってペンと2年ぶりのレターセットを取り出す

「何て書くかのぅ」

久々じゃからか書く内容が思いつかん
しばらく悩んだ結果、結局

『覚えとる?』

と一言のみ
こんなん返事は来るんかのう

不安に思ったが来んかった来んかったでさっきの疑問の答えじゃと自分に言い聞かせて手紙をポストに投函した

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4日後、家のポストを覗くと新聞とかに混じって手紙が一通
そこに宛先に書かれた俺の名前は懐かしい字
那美じゃ
俺はその場で封筒を開ける
手紙には一行だけ

『忘れたのは雅治でしょ?私が忘れるわけないじゃない』

俺は手紙を持ったまま駅へ向かった
手紙の住所を確認して切符を買う

まだ那美は覚えてくれとるじゃろうか
―覚えてた

まだ俺のことを好きでいてくれとるじゃろうか
―きっと好きでいてくれとる

俺は、まだ那美を好きなんじゃろうか
―…

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電車を乗り継いで那美の住む町へ来た
人に聞きながら名前の家を探してようやく古西という表札を見つけた
俺はインターフォンを押す

『はい』

懐かしい声

「雅治じゃけど」

『え?』

ドタドタと階段を下りる音が聞こえてドアから那美が出てくる

「何で…?」

「返事」

那美の手紙を見せる
わけがわからんって顔をする那美を俺は抱き寄せた

俺は、まだ那美を好きなんじゃろうか
―決まってる

「好いとうよ、那美」


有馬山 猪名の笹原 風吹けば  いでそよ人を 忘れやはする

(忘れるわけない―…だからどうか、会いに来て)






なんか仁王が酷い人ですね(´_ゝ`)
わけのわからない文ですいません

ありがとうございました

荊姫




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