赤色ハニー | ナノ

なるほど大魔王様ですか



「君が丸井の妹だね?俺は部長の幸村精市。よろしくね?」

「よ、よろしくお願いします」

大魔王様は案外優しそうな美人だった

「ん?なんか言った」

「な、何も!!」

え、私口に出してた?

「出してないよ。心を読んだだけだから」

幸村部長はお兄ちゃんの話では神の子と呼ばれてるらしい
なんか…納得

「で、幸村くん。とりあえず緋奈どうすんの?」

「そうだね、まず部員に紹介しようか。それから野条に仕事教えてもらって、本格的に始めるのは明日からね」

「は、はい」

「あ、野条っつーのは3年のマネな」

「思ってたんだけど何で2年生のマネはいないの?」

全国で優勝するような部活なんだから人気がないってわけじゃないと思う

「あー、それは…」

「去年はみんなテニス部目当てのミーハーなバカしか来なかったんだよ。まともに仕事しそうもないし、追い返しちゃった」

「ミーハー…じゃ、じゃあ私も…」

「ミーハーなわけないよね?あ、それともブラコン?」

「え、嫌いです」

「おい泣くぞ」

「正直部員が少ないわけじゃないし、練習も厳しいからマネージャーは欲しいんだよね」
だから止めさせないよ?と魔王スマイル
止めないでね?とかじゃないんですね
そんな話をしているうちにコートに着く
パコンパコンとボールを打つ音が聞こえてきた

「集合!!」

幸村部長がそう言うとさっきまで聞こえていた音は止み、全員が幸村部長の周りに集まって整列していく
ぐ、軍隊みたい
いや軍隊がどんな感じかは実際知らないけど

その列の中に見知った顔を見つけた
見知ったっていうか、朝お世話になった顔
にやにやと笑ってる

「今朝ぶりじゃのう、緋奈ちゃん?」

なるほど、すぐに会えるわけだった



 


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