赤色ハニー | ナノ

銀髪の先輩

声のする方を振り返ってみればそれはもう整った顔をした銀髪の人
先輩かな?
だって絶対この色気は中1じゃない
中3でもどうかと思うけど立海の中等部の制服を着ているから中学生だ

「迷ったんか?」

「あ…その…はい」

「新入生じゃろ?ついて来んしゃい。つれてっちゃる」

「あ、ありがとうございます」

あぁよかった
ただでさえこんな頭で目立つのに
入学式をサボるとか悪目立ちにもほどがある
にしてもこの先輩もすごい頭だなー
銀って…
いや、似合ってるけど

「俺の髪が気になるん?」

「え?すいません!!」

気づけば私は先輩の頭をガン見していたらしい

「くくっ。別にそんなことで怒らんぜよ。お前さんもなかなか個性的な頭しとるのぅ」

先輩が私の髪の毛を手にとる
一つ一つの動作が絵になる人だな
っていうか、うん
心臓がやばいです

「染めたん?」

「いや、これはお兄ちゃんに…」

染められた、と口にする前に思い出す
誰かに頭のことを聞かれたら…

「地毛です!!」

…無理あるよ、お兄ちゃん
ほら、先輩驚いた顔してるもん
あ、笑い出した

「面白い奴じゃのう。俺もこんな頭じゃけぇ、嘘つかんでもええぜよ」

「…やっぱりバレますよね。その…お兄ちゃんに染められたんです」

「それはそれは…すごいことする奴じゃのう」

「お兄ちゃん学校で地毛って言い張ってるみたいで…」

「あぁ、ちゅーことはお前さんやっぱり丸井の妹か」

「知ってるんですか!?」

「まぁのう。お前さん名前は?」

「緋奈です。丸井緋奈」

「緋奈か。ほれ緋奈。着いたぜよ」

先輩が体育館の入り口にできた行列を指差す
さっき教室で見た人もいた

「ありがとうございます」

「ん、もう迷わんようにな。まぁ迷ってもその頭ならすぐ見つかるけぇ、また連れてってやるがのぅ」

先輩はくしゃっと私の頭を撫でるともと来た道へ戻っていく

「あの、名前っ…」

私の声に振り向いた先輩は妖艶な笑みを浮かべて

「すぐに会えるけぇ、その時にな」

と、行ってしまった
 


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