赤色ハニー | ナノ

近距離写真




どうしてこうなったんだろう

「緋奈、カメラ」

「あ、はい」

パシャ

「これで全部か。緋奈、落書き」

「はい」

私の今の状況、仁王先輩とプリクラinゲームセンター
迷子になって仁王先輩に発見されて既に1時間
さすがにそろそろ彩先輩達と合流するべきじゃないだろうか

「仁王先輩、そろそろ…」

「んー?ええじゃろ、まだ」

いつもよりも気の抜けたような声で答える仁王先輩
多分今は落書きに夢中なんだろう
携帯で連絡ん取ろうにも私の携帯はただいま仁王先輩のポケットの中
と、取れない…っ

「緋奈、落書きもうええ?」

「あ、大丈夫です」

「んじゃ、終わらせるナリ」

落書き終了のボタンを押して、機械の横のところから印刷されるのを待つ
3分くらいで出てきた
出てきたプリクラを仁王先輩が取って近くのハサミで2つに分ける

「ほれ」

「ありがとうございます」

もらったプリクラの感想は派手
最近のプリクラは髪の色を変えたりなんかできるけど私も仁王先輩もそんな機能必要のないくらい既に派手な髪色だ
それと仁王先輩の落書き…心なしかハートが多い気が…
っていうか、撮影のときはそこまで思ってなかったけど客観的に見たら思う
近い、距離が
いや、私が近いっていうより仁王先輩が近づいてきてるわけだけど
撮影の状況を思い浮かべる
…顔が熱くなってきた
プリクラを見てるのが恥ずかくなってきて顔を上げれば、仁王先輩がプリクラを携帯に貼っていた
それも、あの一番距離が近いやつ
ついでに言えば仁王先輩の落書きした中で最もハートが多いやつ

「ちょ、先輩!?」

「んー?」

「恥ずかしいです!!」

「俺は恥ずかしくないけぇ。あ、緋奈にもやっちゃる」

仁王先輩は同じプリクラをもう1枚切り取ってポケットから私の携帯取り出す

「後ろでええ?」

「よくないです!」

「後ろじゃな」

私の話なんか聞かれず、携帯の後ろにプリクラが貼られる

「ん」

プリクラの貼られた携帯が渡される

「…誰かに見られたらどうするんですか」

変に誤解されるかもしれない

「まぁまぁ、俺と緋奈の仲なんじゃし」

「どんな仲ですか」

「サボリ仲間だろぃ」

「え?」

さっきまでなかった声がして振り返る
そこには額に怒りマークをつけたお兄ちゃん、彩先輩、切原先輩

「二人共今まで何してたのかな〜?」

「めっちゃめちゃ探したんスよ?」

「携帯も全然出ねぇし…って緋奈その携帯!!」

「へ?」

お兄ちゃんが私の携帯をがしっ、と奪って後ろのプリクラをガン見する

「お、お兄ちゃん?」

さっきよりも肩が震えてる、怒りで

「…仁王てめぇ!何緋奈にこんな近づいてんだ」

「プリッ」

「とぼけんな!くっそ、俺でもこんな近づいて撮ったことねぇんだぞ!」

「残念じゃったな、ブンちゃん。緋奈の初めてはもらったナリ」

いや撮ったこともないからね?
仁王先輩も変な言い方止めてください

「…あんたも大変だね」

「あの二人は放っとい買い物の続き行きましょーよ」

「そうですね」

そうして相変わらず騒いでいる仁王先輩とお兄ちゃんは放って三人で買い物に向かった


 


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