赤色ハニー | ナノ
それは恋です
最近私の見るとこ見るとこ仁王先輩がいる
…何で?
そりゃあ仁王先輩は目立つから目につくのはわかるけどそれでも多い
現にこの朝練でもさっきから仁王先輩ばっかり目につく
「緋奈最近仁王ばっか見てるよね−」
「へ!?」
彩先輩がニヤニヤと私に近づいてきた
「違いますよ。私が見る方向に仁王先輩がいることが多いんです」
「…」
彩先輩は呆気にとられたような顔をしている
「緋奈…本気で言ってる?」
「はい?」
彩先輩はハァ−っと今度は大きくため息をつく
「ねぇ、緋奈。それは勝手に仁王が視界に入ってくるんじゃなくて緋奈が仁王を無意識に見てるの」
「はぁ」
「それで緋奈は仁王にドキドキしたり、仁王のことでショック受けたりしない?」
ドキドキはする
ショックは…あぁあったな
保健室で仁王先輩を見ても普通に接せられたときは
仁王先輩の中の自分の存在って大したことないのかなってショックだった
「ありますね」
「でしょうよ」
「?」
「気づいたら自然と目で追ってて、その人の行動にドキドキしたりショック受けたり…それはもう恋でしょ」
「「恋!?」」
声がかぶった
ついでに何かが落ちる音が聞こえた
音の方向を見ると口をあんぐりと開けてわなわなと振るえてるお兄ちゃんがいた
「緋奈−!?俺は認めねぇ!!仁王なんてぜってー認めねぇ!!」
「ちょ、丸井うざい!緋奈とのガールズトークに入ってこないでよ!!」
「仁王は止めとけって!お兄ちゃんは認めねぇからな!!つーか最悪あいつが弟になるとか止めてくれぃ!!」
お兄ちゃんはすごい必死だった
…っていうか、え?
恋?
私が仁王先輩に?
…
「ふぉぉぉぉぉぉっ!?」
「緋奈!?反応遅っ」
「お兄ちゃんは認めねぇぇぇぇっ」
「丸井さっきから何叫んどるんじゃ?」
「仁王お前…っ、…バカ野郎−−っ」
「ふぁぁぁぁぁぁぁっ」
お兄ちゃんと私は同時にその場から逃げ出した
仁王先輩を見たらドキドキした
丸井緋奈、どうやら初恋です
「あいつらどうしたん?」
「…さぁ」