赤色ハニー | ナノ

お前の屍を超えていく



「仁王、緋奈、健闘を祈る!!」

私達3人は校門へ向かって走り出した





「…って、緋奈おっせぇ!!」

走り出したばかりだと言うのに私とお兄ちゃん達の間はびっくりするくらい空いている
…だって足遅いんだもん!!
50m11秒なめないで!

「緋奈じっとしときんしゃい」

ふわ、と体が宙に浮く感覚
仁王先輩の顔がさっきよりも近くにあって、いわゆるお姫様抱っこ状態

「仁王ー!?ちょっ、何してんだよぃっ」

「仁王先輩!?私なんかをその…ぉ、お…」

恥ずかしさで口が回らない

「お姫様抱っこ?」

「そうです!!してたら捕まります!!」

「大丈夫じゃ。丸井」

「何?」

さっ、と仁王先輩は走っているお兄ちゃんに足をかける

「うおっ」

前のめりにこけるお兄ちゃん

「仁王!?」

「丸井、達者でな」

「てめぇ、裏切りやがったな!!」

「プリッ」

風紀委員の皆さんがお兄ちゃんを捕まえにくる
その間に仁王先輩は私を抱えて逃げていく
お兄ちゃん…ざまーみろだ
そんなこんなで校舎前

「ここまで来れば大丈夫じゃろ」

「何が大丈夫ですか」

「逃げ出すなど貴様ら…たるんどる!!」

よく知った声
まさか…

「柳生先輩!?真田副部長!?」

「なーんで、こんなとこまでおるんじゃ」

「貴方達が素直に注意を受けないなんて目に見えてましたからね。先回りさせていただきましたよ」

くい、と眼鏡を上げる柳生先輩は完全に映画とかで犯人を追い詰めた頭脳派刑事って感じだ

「け、けど真田副部長校門に…」

確かに叫び声が聞こえたはずだ

「む?俺達は始めから校舎前で検査していたが?」

あ、ここからの声でしたか
さすが真田副部長
校門から校舎まで結構な距離があるけど私は何も突っ込まない
だって真田副部長だもん

「ということでお二人共」

「その乱れた性根を叩き直してくれるわぁっ!!」

キーンと真田副部長のせいで止まない耳鳴りがしながら
私と仁王先輩は指導室へ強制連行された
 


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