赤色ハニー | ナノ

望んだはずの元通り



side 仁王

緋奈が去っていった後、俺はベッドから下りて軽く背伸びしてからはだけたシャツを整える
女とおるとこなんぞ何回も見られたことはあるが
緋奈に見られたんは初めてじゃな
この保健室で俺が何をしていたか、なんとなく想像くらいつくじゃろう
どう思ったんじゃろうか
引いたんか?それとも軽蔑?両方かもしれん

「無様じゃのう…」

どんな感情を抱かれようと種をまいたんは俺自身
誘われたとはいえ流されたわけでもない
そんな風に思われるんはまぎれもなく、俺のせい

「部活、行くかの」

コートに行けば緋奈は野条とタオルを配っとった

「仁王、やっときたね」

黒い笑顔の幸村がコートに入るやいなや話しかけてくる
まぁ気にせんが

「すまんの、幸村」

とりあえず形だけでも謝っておく

「遅れてくるとは、たるんどる!!」

真田…めんどい奴じゃ

「そう言いなさんな。保健室行ったときはほんまに体調悪かったんじゃよ」

「行ったときって…またかい?体調不良の理由もどうせ寝不足だろう?」

「…プリッ」

さすがは神の子
見透かされたナリ
寝不足の理由もわかっとるんじゃろうな

「はぁ…もういいよ。次丸井とジャッカルと試合だから」

「行きましょう、仁王くん」

柳生が俺を迎えにくる

「ん…」

柳生と一緒にコートへ向かおうと思うが
なぜか目線と共に足は自然と緋奈の方へ

「緋奈」

「はい!?」

「タオル」

「へ、今ですか?後で渡しますよ?」

「試合中でも使うけぇ、先もらっとくナリ」
嘘じゃ
試合後じゃってタオルを使うことがないのに
試合中に使うわけがない
タオルはただの手段
なんとなく今緋奈と話したかったから
そのための手段

「なんじゃ、くれんのか」

そんなことなんて知らん緋奈は俺がタオルをもらいに来ることが不思議なんか
渡さないままでいる

「いや…どうぞ」

戸惑いながらもタオルを渡してくれる
俺もそれを受け取る

「ありがとさん」

緋奈の頭を撫でて柳生に呼ばれたから今度こそコートへ向かう
普通にできたじゃろうか
これでこれからも普通に今まで通り接してくれるじゃろうか
『普通に』…
自分でそう思ったのに何故だかその言葉が妙に悲しく感じた





仁王くんが寝不足の理由は昨日も女の人と会ってたんでしょうね(`・ω・´)
まったく…近頃の中学生は!←

荊姫


 


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