赤色ハニー | ナノ
彼の実態
衝撃の保健室から私は一人テニスコートへ戻る
仁王先輩が先行っててって言ったから
正直ありがたい
あんな現場見ちゃったら気にしちゃって保健室からテニスコートっていう短い距離でさえ
どうしたらいいかわからない
「あ、緋奈おかえりー」
コートに着くと大量のタオルを持った彩先輩がいた
「すいませんっ、手伝います」
先輩から半分タオルを受け取る
「おー、ありがと。仁王呼びに行ってたんでしょ?奴は?」
「ふぉっ!?えーと、その…」
思い出したらまた顔が熱くなる
どう説明したらいいんだろ
「あー、またか。なんていうか…どんまい」
「わかるんですか?」
「あたしもあるし。思いっきりちゅーしてるとことか遭遇したことあるよ」
彩先輩が遠い目をしてる
それは…辛い
「けど彼女かわからないって…」
「あ、彼女じゃないんだ。っていうか今の彼女って誰だっけな、確かE組の岡本さんが告ったとか聞いたからそれと…」
ちょっと待って
告ったからって…
「あぁ、あいつ来る者を拒まずだからねー」
「お兄ちゃんから聞きました。けどそんなにだとは…」
「二股とか普通だもん。下手すりゃ10人くらいいるかもねー。仁王告白断らないから」
彩先輩はけらけらと笑いながら話す
なるほど来る者を拒まず、か
それって彼女っていうんだろうか
彩先輩曰わく彼女さんもそういう付き合いをするような人ばかりらしい
「本気じゃないってことですか?」
「そうなんじゃない?あーでも一人いたかも」
「え?」
「って言っても3ヶ月くらいで別れたんだけど。その時は今見たいに来る者を拒まず、とっかえひっかえしまくりなんてことはなかったかな。っていうか、その子と別れてからだよ、仁王が今みたいになったの」
「誰なんですか?」
「倉本亜沙美って子。仁王の最初の彼女だよ」
全然知らない名前
覚えやすい名前ってわけでもないのに
何故だかその名前は私の頭の中に強く残った