きみと手をつなぐ5題 | ナノ

僕はただきみの手を握って、きみは黙ったまま頷いて。

※社会人設定

いつもよりも遅く仕事が終わって家に帰る
遅く終わった理由は上司の理不尽な説教
俺の銀髪が気に入らんとかいう理由
確かに俺の銀髪は社会人としてはどうかと思うが
じゃからって仕事ができんってことには繋がらんじゃろ
あいつ絶対狙っとった女が俺のこと好きんなった逆恨みじゃ

そんな訳で身も心もボロボロな俺は
やっと家に着きドアを開ける

ガチャ

「お帰りー、雅治」

「…」

そこにおったのは彼女の那美
家に来とるなんて聞いておらんかったから柄にもなく驚いた

「何でおるんじゃ」

「驚かそうと思って。あ、ご飯できてるよ」

「あ、あぁ。すまんの」

持っとった荷物をさっと俺の手から取り
俺をリビングに通す
テーブルの上には美味そうな料理が並んどった

「温めるね。もっと早いと思ってたから冷めちゃった。残業?」

「いや、説教」

「何やらかしたの?」

「何もしとらんわ。俺が気に入らんのじゃと」

「うわ、何それ」

チーン

料理は温められたらしく更に美味そうになって俺の前に出される
一口食えばそれは見た目だけじゃない
疲れた体はエネルギーを補おうとどんどん箸が進んでいく

「…のう、那美」

「んー?」

「俺ら結婚せんか?」

「…へ?」

俺の一言に那美はどう反応したらええんかわからんようで
ぱちくりと目を見開きながら俺を見る

「じゃから、結婚」

「だって…いきなり」

俺は那美の手をとって握りしめる

「これから先ずっと、こうして帰ったときは那美に出迎えて欲しいって、今猛烈に思ったんじゃ」

少しでも伝わって欲しいからか
自然と握りしめる力が強くなる
那美は顔も目も真っ赤じゃった

「結婚、してくれるか?」

コクンと那美は黙って頷いた


繋いだ手は一生離さない



僕はただきみの手を握って、きみは黙ったまま頷いて。




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お題完結です!!
お題に沿って書けたかは微妙ですが
楽しく書かせていただきました
最後までお付き合いありがとうございました


荊姫




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