きみと手をつなぐ5題 | ナノ

放課後の教室は少し寒くて、きみの手はこんなにも温かい。


「寒っ」

「寒いねー」

ただいま冬真っ只中
教室の中とはいえ寒くてしゃーない

「那美より俺のが絶対寒いわ」

「何その対抗意識」

「やって俺のが体温低いし」

「答えになってないからね」

那美はちょっと呆れたように笑う
俺はそんな那美を横目に冷えた手をこすり合わせる

「…」

「どないしてん」

那美が俺の手をじっと見つめる

「貸して」

温かい那美の手が俺の手を包み込むように握った

「光より体温の高い私が光に熱分けてあげるよ」

「…お子様体温やな」

「あ、そんなこと言うなら手離しますよ?」

「すまんすまん。冗談やからあっためて?」

「仕方ないなぁ」

握られた手から伝わってくる那美の体温は
どんなカイロよりもあったかい気がした


放課後の教室は少し寒くて、きみの手はこんなにも温かい。






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