放課後の教室は少し寒くて、きみの手はこんなにも温かい。
「寒っ」
「寒いねー」
ただいま冬真っ只中
教室の中とはいえ寒くてしゃーない
「那美より俺のが絶対寒いわ」
「何その対抗意識」
「やって俺のが体温低いし」
「答えになってないからね」
那美はちょっと呆れたように笑う
俺はそんな那美を横目に冷えた手をこすり合わせる
「…」
「どないしてん」
那美が俺の手をじっと見つめる
「貸して」
温かい那美の手が俺の手を包み込むように握った
「光より体温の高い私が光に熱分けてあげるよ」
「…お子様体温やな」
「あ、そんなこと言うなら手離しますよ?」
「すまんすまん。冗談やからあっためて?」
「仕方ないなぁ」
握られた手から伝わってくる那美の体温は
どんなカイロよりもあったかい気がした
放課後の教室は少し寒くて、きみの手はこんなにも温かい。
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