きみと手をつなぐ5題 | ナノ

怖がるきみの手を握った、僕の下心をきみは知らない。



部活帰りで遅なった帰り道に発見したんは
物騒な男二人に絡まれとるクラスメイトやった

「姉ちゃんめっちゃ可愛いやん」

「一人やろ?俺らと遊ぼうや」

「え、いやあの…」

絡まれとるんは古西さん
クラスでも大人しい子でそれやからか男二人の誘いにどう対応したらええんかわからんみたいやった

「ほら行こうや」

「痛っ」

「自分らええ加減にしいや」

「「は?」」

「白石君?」

とりあえず古西さんの腕から男の腕をほどく
ちょっと赤くなっとった
可哀想に
女の子にはもっと優しいせなあかんやろ

「何やねんお前」

「自分らこそ何やねん。俺は那美の彼氏やけど、俺の彼女に手出さんといてくれるか?」

古西さんを庇うように後ろにやる
彼氏っちゅー嘘に信憑性を持たせるために手も繋いで

「ちっ、行こうぜ」

男らは不満そうに去っていく

「行ったな。大丈夫か?古西さん」

「こ、怖かった…」

古西さんの目からボロボロと涙が零れる

「もう安心し」

繋いどった手を離して古西さんの頭を撫でてやる
そしたら赤い目で笑った
…可愛い

「ありがとう」

「いや…すまんな。彼女とか勝手に。手とかも」

「ううん。助けてくれるためだってわかってるし」

それから古西さんは俺にもう一度お礼を言って帰っていった

「助けるため…なぁ」

手を繋いだんは嘘のためなんかやない、っていうんは
まだ古西さんは知らんやろう



怖がるきみの手を握った、僕の下心をきみは知らない。






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